<横浜3-5広島>◇19日◇横浜
感謝の今季1勝目だ。広島前田健太投手(23)が横浜戦に先発し、7回3失点の粘りの投球で今季初勝利を挙げた。2被弾しながらも確実に試合をつくり、貫禄を示した。今季初めて最速150キロもマークするなど、状態は上向き。開幕投手を務めた12日阪神戦(甲子園)では6回5失点だったが悪夢を消した。
鬼の形相だった。マウンドを駆け降りながら、右拳を突き上げる。2点リードの6回2死一塁。森本にスライダーで空振り三振を奪うと闘志がほとばしった。7回を切り抜けると、またもガッツポーズ。気合を込め、今季初星をつかんだ。
前田健
2点差まで迫られて何とか我慢した。打ってもらって勝たないといけない試合。あれだけ得点をとってもらって逆転されたら情けない。6、7回は気持ちが入りました。
エースの誇りをにじませたマウンドだった。3回、武山に左翼席へ先制ソロを浴びたが、その直後の4回に打線が5連打で5得点。4点のリードをはき出すわけにいかなかった。5回、吉村に右越え2ランを許して2点差に迫られたが、意地で好調な横浜打線を食い止めた。開幕投手を務めた前回登板の12日は阪神に屈し「最悪の開幕戦」と言った。仕切り直しの1戦で沢村賞右腕の力量を見せた。
使命感を背負ってマウンドに上がる。東日本大震災で苦しむ人々へ届ける全力投球でもあった。「野球は勇気を与えられるのか」。そんな命題にも答えは出ている。球場に届くファンレター。1枚ずつ読み、心に刻む。『昨日の投球を見て、手術しようと決心しました』…。『いままで逃げていたことに挑戦してみます』…。強打者に立ち向かい、無我夢中で投げる姿は人の心を打ち、それがまた前田健のパワーに変わる。「周りの人がそういう風に感じ取ってくれるのはうれしいこと」。心に東北を-。この日は150キロを計測するなど、懸念された球威も上がり始め、制球面とともに状態は高まってきた。
前田健
球速は出ていたかもしれないけど(それよりも)コントロールで投げ分けができた。前より良くなっているけどまだまだ。
14日阪神戦で白星を挙げた02年全米1位のバリントンから、今村-福井と前田健とドラフト1位投手で4連勝(引き分け1試合を挟む)。野村監督は「開幕戦を落として重そうな感じに見えた。1つ勝って次は、いい感じで行けるでしょう」と話す。前田健も「ホッとしています。今日はチームの勢いに乗って勝たせてもらった。チームを乗せられる投球をしたい」と意気込む。エースの1勝で、首位を手堅く守った。【酒井俊作】



