<ロッテ3-0西武>◇20日◇QVCマリン

 ロッテ唐川侑己投手(21)が西武打線を6安打完封し、今季初勝利を飾った。4回から6回まで無死で得点圏に走者を背負いながら、しのいで粘った。ロッテは前日19日の成瀬善久投手(25)に続く完封。昨年の日本一チームが波に乗ってきた。

 最後の1球は138キロ内角直球がズバッと決まった。だがマウンドから降りた唐川は苦笑いしながら里崎とハイタッチした。「内角直球のサインに首を振って、外を狙って投げたんですけど、内にいっちゃったんです」。里崎からは「やっぱり内だっただろ」と言われた。再三のピンチをしのいでの完封の内幕。それをお立ち台で披露すると「(首を振る)意味ないじゃん」と、観客から突っ込みが入った。

 完封は最後まで意識しなかった。4回から6回までは無死で得点圏に走者を許した。「同点まではしょうがないと思っていた。それで腕が振れたのが良かったのかもしれない」。切れ味鋭いスライダーと、130キロ台ながら空振りを奪える伸びのある速球で、西武打線を封じていった。

 前日の成瀬に続く完封だった。その成瀬が一目置く存在が唐川だ。今春の石垣島キャンプで、必死に汗を流していた成瀬がふと話したことがある。「唐川の存在は大きい。あいつが、僕を追い越そうとしてくるから、僕はもっと頑張らないといけないと必死になれる」。日本一の立役者となったエースがチーム内のライバルとして目するほど、その才能を買われている。

 それだけのポテンシャルを秘めながら、この3年間は5勝、5勝、6勝。シーズン中盤で失速した。何より自分がふがいなく思っている。昨年11月、選手会納会のお酒の席で、サブローと小林宏から「一番苦しい時にケガでいなくて、日本シリーズのいいところだけおりやがって」と冗談交じりに叱咤(しった)されると、思わず涙をこぼしてしまった。それを見たサブローが「あいつは今年はやるはず」と強く感じるほど、酔いも覚める涙だった。

 「もう4年目。同じ失敗はしたくない。毎年春先は手応えがいい。繰り返さないようにしたい」。いよいよロッテの次世代エースが飛躍の時を迎える。【竹内智信】