<広島6-4阪神>◇26日◇マツダスタジアム
待ってました、選手会長!
阪神新井貴浩内野手(34)が、広島戦で待望の1号2ランをたたき込んだ。開幕から元気のなかった打線にあって、12戦目にして初のクリーンアップ弾だ。勢いがついたチームは、今季最多タイ12安打をマーク。先発能見が崩れて昨年4月10日以来の借金を背負ったが、ダイナマイト打線復活は近いでっせ!
ニコリともしなかった。帰りのバスに続く敗者の隊列。その後方尾で歩く背番号25の表情はまったく緩まなかった。「何もないですよ。今日は特に何もないです」。悔しさばかりが全身を貫いていた。試合に負けては何の意味もない。
ようやく出た。うっぷんを晴らすように、体がねじれるほど振り切った。5回1死二塁。カウントは1-1。前田健の高めに浮いた直球を強引にシバいた。大きな弧を描き、カープファンの悲鳴を浴びながらセンター左に吸い込まれた。3-2。一時的にスコアをひっくり返した。
新井貴
なかなか出ていなかったけど、いつか出るだろうと思っていたんで。うまくとらえることができたと思う。高めのボール球だったけど、思い切って振ることができました。
今季2度目の3安打。マルチ安打もチームダントツの7度を数えるほど好調だ。しかし、アーチだけがなかった。4番だけではない。中軸に1発が出ない。チーム本塁打はマートン(2本)、俊介、林威助の4本だけだった。
イヤでも雑音が耳に入ってきた。「今年の阪神打線はどうした」「昨年ほどの破壊力がない」…。そんな状況でも新井貴は自分を見失わなかった。「出ないからといって、意識したらダメですから」と当然のように言った。色気は出さず、ジッと好球必打、そして自分のスイングを貫いた。この日の1球はボール球だったが前田健にとっては“失投”。迷わず、射抜いた。
逆転2ランは報われなかった。ついに勝率5割を割った。借金を背負うのは昨年4月10日以来だ。まだシーズン12試合目。順位や成績を語る時期ではないが、打線の低調ぶりを、数字が如実に表している。
ただ、真弓監督は焦りを見せなかった。むしろ、光明を見た。
真弓監督
少し攻撃に当たりが出始めたのでね。今の状態からするとよくやっているかな。打線が調子を取り戻せば、勝てるゲームも増えると思う。
前田健を打ち崩し、今季チーム最多タイの12安打。そして新井貴の一撃。何かが変わる。主砲の一打が何かを動かす。昨季、セ界を席巻したダイナマイト打線がジリジリと点火準備に入っている。【柏原誠】



