ああ、4番が幻に…。広島岩本貴裕外野手(25)が27日の阪神戦(マツダ)でプロ入り初めて4番に起用された。新外国人チャッド・トレーシー内野手(30=マーリンズ)の定位置だったが腰の張りを訴えてスタメンを外れたため、岩本が名を連ねた。雨天中止になって実現しなかったが、将来の主砲への期待の表れ。今度は実力で奪い取る-。
試合中止が決まると、岩本の周りに黒山の人だかりだ。プロ入り初めて4番に座る一戦。注目の打順だけに話題を一身に集めた。ロッカーへと引き揚げてきた梵が「やめてあげて下さいよ。勘違いするから」と言えば、広瀬も「ヨッ!
幻の4番!」と冷やかす。雨とともに流れたが、試合が行われていれば、栄えある4番のデビュー戦だった。
開幕から不動の4番だったトレーシーが腰の張りを訴えたため、急きょ起用されたものだった。野村監督が「(4番岩本の意図を)あまり考えていない」と説明したほか、町田打撃コーチも「4番目の打者ということ」と語るように、実力で抜てきされたものではなかった。今季は左右の打者が交互に並ぶジグザグ打線を組んでおり、攻撃の流れを変えないためにも、トレーシーと同じ左打者の岩本に白羽の矢が立った。
この日の練習中に4番起用を伝えられた岩本は表情を引き締めて言う。「出る以上は思い切ってやるだけです。自分のできることをしようと思いました」。今季は全13試合に6番でスタメン出場。だが、打率2割8厘、ノーアーチで本調子ではない。本拠地で行われる試合前練習では早出特打の常連メンバー。1球1打に集中し、自らの状態を高めることを先決させる。
町田コーチも「つかまえる形ができていない。統一球になったからこそ、しっかりしたスイングをしないと。下半身を使った打ち方をしないと、いい打球は飛ばない」と注文。昨季は3、5番のクリーンアップを経験し、シーズン14本塁打をマークした。
チームに数少ない長距離打者として見込まれるからこそ、周囲の求める要求もハイレベルになる。岩本も「どうしても(球を)当てに行ったりする。しっかり振ることです」。持ち前の鋭いスイングを磨き、真の実力で4番への道に立つ。【酒井俊作】



