<広島5-1阪神>◇28日◇マツダスタジアム

 ジョーダンじゃない!

 阪神城島健司捕手(34)が、怒りの1発をたたき込んだ。6回の守りで広島石原の守備妨害を訴えたが認められず、1点を追加された後の打席。篠田の直球を左翼ポールにぶち当てる1号ソロだ。さらに1安打を加え、今季初の猛打賞もマーク。初の3連敗で4月勝ち越しが消滅したが、必ず巻き返す。

 城島が、目線を下げて黙々とベースを回った。0-3の7回2死、篠田の141キロ直球をフルスイングした。左翼ポール直撃の今季1号ソロにも笑顔はない。

 城島

 岩田が頑張っていたから援護してあげたかった。勝ちをつけたかった。

 怒りには伏線があった。6回無死一塁で犠打の守備。石原のバットにボールが2度当たって、フライを捕球できず。真弓監督の抗議も実らず、この回に大きな3点目を失った。

 城島

 岩田はいい投球をしていた。内容は全然悪くない。不運な判定もあった。あとは打線の援護だけ。

 城島は「捕手は投手に寄り添う。マウンドで投手を1人にしない」が口癖だ。それだけに岩田に白星がつかないことを悔やむ。左膝を手術して臨んだシーズンでもその姿は変わらない。

 昨年11月初旬、大阪府内の病院で違和感のあった左膝を検査した。診断結果は半月板損傷で、その場ですぐに入院と手術を薦められた。「いきなり言われてびっくりした。ちょっと待ってくださいと。いかなきゃいけないところがある」と1週間の猶予を求めた。

 行った先は、長崎県五島市の男女(だんじょ)群島。故郷の佐世保市から高速艇で3時間という無人の島々に5連泊した。大海原に釣り糸を垂れて、再起ロードを歩む腹をくくった。

 困難に立ち向かう心の源泉がある。毎年オフに訪れる鹿児島県南九州市内の「知覧(ちらん)特攻平和会館」。かつての第2次世界大戦で特別攻撃隊の出撃地に、鎮魂の資料館がある。

 城島

 最初は20歳のころに両親に連れられていった。両親がボロボロ泣いている姿を見ても、ピンと来なかった。でも今は自分の子どもがいて、号泣するようになった。死ぬ気とはこれ。野球で死ぬ気はない。

 壁一面に並ぶ特攻隊員の写真、遺書、遺品、絶筆…。史実の過酷さに圧倒され、そしてわが身を振り返る。野球でどんな困難に直面しても「僕は死ぬ気という言葉は使わない」。全治6カ月の手術も、乗り越えられる試練だと心に誓った。

 初の3連敗で借金2。今日29日から甲子園で9連勝中のヤクルトと激突する。

 城島

 連敗を止めたい。

 試練にも不運にも屈しないで戦う。【益田一弘】