<横浜7-6巨人>◇29日◇横浜

 敗戦の中にも、希望の光は見えた。不振だった小笠原道大内野手(37)が第2打席で左安打を放ち、19打席ぶりに一塁ベースを回ると、珍しく喜びをあらわに一塁コーチとハイタッチした。ベンチには笑顔があふれ「みんなが喜んでくれるのはうれしいこと」とほおを緩めた。その後も右前、二塁内野安打と今季初猛打賞。2000安打まで残り3本とした。原辰徳監督(52)は「バッターの方にいい兆しが見えてきた。負けたというのはあるが、明日につながる」と語った。

 波に乗れないチームの現状に責任を感じていた。「(自分が)これだけ結果が出ないということはチームの結果にも直結している」。仲間に心配をかけさせるわけにはいかない。「無理しているわけではない。前を向いてやっている結果だし、みんなでやってるわけだから」と明るさは失わず練習を重ねた。そして3安打、チームも15安打。吉村打撃コーチは「これでまた引っ張っていってくれる」と喜んだ。

 今日30日3安打を放てば、1733試合の張本を抜いて川上、長嶋に次ぐ歴代3位のスピード達成にもなる。周囲の期待は高まるが、冷静だ。「チームが勝たないと。散々迷惑かけている。過ぎたことは取り返せないですけど、明日から少しずつ、こつこつとやっていきたい」。浮足立つことなく、偉業達成の前に立ちはだかった壁を越えた。【浜本卓也】