<巨人2-1横浜>◇12日◇東京ドーム

 好調の横浜の連勝は、5でストップした。横浜の先発投手は開幕を務めた左腕山本省吾投手(32)で、巨人はローテーションの谷間で今季2度目の先発となった金刃。連勝中の対戦カードで先発投手の名前だけを比べれば、一番勝てそうな一戦だったに違いない。しかし、結果は逆になった。

 金刃攻略の戦略が見えなかった。現在の巨人の“弱点”は、強肩捕手の阿部の不在。今試合で先発マスクをかぶった鶴岡にしても、加藤にしても、強肩ではない。金刃も、足を高く上げて投げる左腕で、決してクイックモーションが得意なタイプではない。現に走者を置いたときは、足を高く上げて投げたり、クイックで投げてみたりと、苦心の投球を見せていた。

 今季初先発だった前回の先発では、初回に3失点。立ち上がりに不安を残していただろう。そんな中、横浜は先頭打者の石川雄洋内野手(24)が中前安打。しかし、横浜は初球に送りバント。金刃自身も楽になったかと聞かれ「そういう考え方もあるでしょうが…。1個アウトを取れたのは良かったです」と答えている。12球団ワーストの4盗塁で、機動力を使うチームではないが、走者は昨年36盗塁でリーグ2位の石川。打者もヒットエンドランなど小技が出来る渡辺直人内野手(30)だった。1回の送りバントが「無策」とまでは言わないが、立ち上がりに不安があり、球も高めに浮いていただけに、初球の送りバントはもったいなかった。

 2回無死一塁からの7番一輝も、注文通りの併殺。好調とはいえ、横浜には横綱相撲をして勝てる戦力はない。下位打線はチーム打撃を徹底するとか、走れる選手が出塁したときは相手バッテリーにプレッシャーをかけるとか-。「どうやって打つか」だけでなく「どうやって得点するか」や「どうやったら相手は嫌がるか」を考え、実践していかなければいけないチーム。全力疾走だけで勝てるほど、プロの世界は甘くない。【小島信行】