<ロッテ1-5楽天>◇15日◇QVCマリン

 星野楽天が15日、大幅なコーチ陣の配置転換を行った。ロッテに快勝し、借金2で明日17日からの交流戦に臨む。だが、この日67イニングぶりに適時打が出たように、打撃陣の不振は開幕から改善されなかった。加えて競った場面での状況判断などのミスが散見され、星野仙一監督(64)は打開策を模索していた。4月12日のシーズン開幕からまだおよそ1カ月。交流戦前という早期タイミングと8人に及ぶ異例さで組織再編を断行した。

 開幕から27試合、借金2というタイミングで、星野監督が重い決断をした。1、2軍の入れ替えを含む、合計8人ものコーチ陣の役職変更。打線が不振を極めた5月に入り球団側と話し合いを重ね、ロッテ戦に快勝したこの日の試合後、スタッフに伝えられた。今日16日に行われる全体練習から新体制で再出発する。星野監督は移動時にJR東京駅のホームで「発表の通りよ」と多くを語らず。チームには緊張が走り一様に厳しい表情で、交流戦初戦となる17日からの巨人戦に向け仙台に戻った。

 チームの現状を洞察し、足りないと見た部門を重点的に動かした。8人に及ぶ配置転換を見ると、投手コーチは1、2軍、育成部門とも一切動かしていない。1軍で2点台中盤を維持する投手陣は順調に機能していると判断。手を入れたのは攻撃部門だった。この日の試合で67イニングぶりにタイムリーヒットが出たが、打撃陣の不振は根深くテコ入れ必須の状況だった。星野監督は「フリー打撃からミスショットが多い。上がってくる感じがない。技術そのものが足りない」とジャッジ。攻撃全般の知識にたけた外野守備担当の本西コーチを、打撃部門補佐に据えた。

 加えて、小差の試合が続く中で、シビアな状況判断能力が欠如している現実も知った。スクイズバント、ヒットエンドランのサイン見落とし。進塁できる場面で滑り込んでしまう走塁。要所でベンチ主導の試合運びが出来ないケースが続き、「過去には経験がなかった。昨年はどういう形だったのだろうか」と思案していた。中日監督時代にプレーヤーとして重用した関川、種田両コーチは、星野監督の目指す野球、ゲームプランを熟知している。選手にいやらしさをすり込ませたい意図が透けて見える。

 船出から半年、交流戦前というタイミングでの大きな人事。一番の狙いは単なる「テコ入れ」ではないのかも知れない。監督自身が選手を厳しく叱咤(しった)し、時に優しく気配りし選手を導く今のスタイルは、実は本意ではない。「コーチにもしつこさが欲しい。コーチも鍛えたい。在任中に財産を残したい」と話す。

 指導者が任された職務をまっとうし、受け身ではなく能動的に意見する。監督は意見に対しアドバイスを送る。あるべき像に届かないジレンマがあった。監督はファームから送られてくる膨大な資料に日々目を通している。昇格降格という短絡的な判断ではなく、適材適所を洗い直し、育成部門の詳細まで配置転換した。真のプロ集団へと改革する。大シャッフルにはそんな狙いがある。【宮下敬至】