<ソフトバンク4-0ロッテ>◇10日◇福岡ヤフードーム

 ソフトバンクの若手外野手コンビがビッグプレーだ。4回2死一、三塁で、一塁走者・中村晃外野手(21)と三塁走者・福田秀平外野手(22)が重盗に成功し、決勝の先制点をもたらした。チームは今季最多の1試合5盗塁の足攻めで、2位日本ハムと1ゲーム差をキープ。打ち勝つ豪快勝利だけが、ホークスの勝ち方じゃない!

 4回2死一、三塁の先制機で、秋山監督が選んだ策は重盗だった。9番田上に対し、カウント2ボール1ストライクからの4球目。三塁には2回の二盗で今季10盗塁をマークしたばかりの福田、一塁には通算2盗塁の中村がいた。中村の好スタートとロッテ捕手的場の動きを確認しながら、三塁走者福田がリードを取りつつ本盗のタイミングをはかる。渡辺俊がマウンドでしゃがんだ瞬間、スタートを切った。

 右足を伸ばし、直線的に滑り込んだ福田に対し、カットに入ったセカンド井口は的場の送球がそれたため、本塁送球もできなかった。機動力を重視するホークスの攻撃が、値千金の先制点を呼びこんだ。

 秋山監督

 福田と中村が思い切りよくね。あのへんは思い切りがないとできない。俊介にはなかなか連打ができない。右打者が打ちにくいのもあった。

 3回まで毎回走者を出しながら、あと一打が出ていなかった。打席には右打者の田上。ホークスベンチの読みは、ロッテの守備指示を上回った。ソフトバンクの本盗スタイルは、投手がカットしないのを確認した後にスタートを切るもの。ロッテ陣は一塁走者スタートの場合、二塁送球のサインが出ていた。

 秋山監督の指示に応える福田の成長も著しい。昨年まで通算44試合出場で3盗塁だが、ベンチで自軍攻撃中に昨季盗塁王の本多の隣に座り、相手バッテリーのクセや配球を勉強する。本盗は5日西武戦で川崎が同じように重盗でホームスチールを決めたタイミングを参考にしたという。

 福田

 本多さん、川崎さんにいつもアドバイスもらっています。チームにも失敗を恐れず次の塁を狙っていくというのがある。

 昨年は、通算415盗塁の大石新ヘッドコーチと、同303盗塁の秋山監督のタッグで、両リーグトップの148盗塁に導いた。今季はこの日の5盗塁を加えて、計76盗塁。シーズン換算では165盗塁となり、球団47年ぶりの150盗塁オーバーペースだ。5回の2点目も本多の二盗が生きた。2位の日本ハムとは1ゲーム差のままだが、一気に独走態勢に入る戦力は、ついてきている。【松井周治】