労組日本プロ野球選手会(阪神新井貴浩会長)は22日、名古屋市内で臨時大会を開き、13年3月開催予定の第3回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)について、参加条件が改善されない場合は、出場しないことを全会一致で決めた。日本代表のスポンサー権と日本代表グッズの商品化権を求めて、8月に大会の運営会社(WBCI)と交渉する。

 選手会の臨時大会に出席した1球団2人、計24人の代議員が、全会一致で「条件改善がなければWBC不参加」を決めた。新井選手会長は会見で「今のままの不平等な条件の下では、参加したくてもできない。そういう意見で一致した」と話した。

 選手たちも国際大会の重要性は十分に認識している。野球は、08年北京五輪を最後に正式種目から外れ、WBCに不参加となると、出場できる世界レベルの国際大会がなくなる。選手のモチベーションなど、球界に与える影響は計り知れない。それを承知の上で、新井会長は「すべては日本球界発展のため。1歩も引くつもりはない」と強気に言い切った。

 問題点は日本側が「不平等」と主張する参加条件にある。選手会の説明によると、WBCへの参加条件は、代表チームのスポンサー権とグッズの商品化権(ライセンシング権)を、WBCの運営会社(WBCI)に譲渡すること。五輪のような国際イベントでは通常、スポンサー権や商品化権は代表チームに帰属するが、WBCはそうではない。グッズの収益はすべてWBCIに入る仕組みになっているという。

 09年の第2回大会は総収益約1800万ドル(当時のレートで15億円)に対し、日本への分配金は13%の約2億円だった。MLB(大リーグ機構)とMLB選手会は計66%の約10億円。選手会関係者は「配分比率を上げることを要求するのではなく、スポンサー権とライセンシング権を認めるよう求めていく」と話した。大会の収益から日本代表関連のスポンサー収入などを切り離せば、日本側の取り分は自然に増えるという考えだ。

 選手会が求めているのは自分たちの収入増ではなく、NPB(日本野球機構)の収益増。それが球界全体の発展に寄与するという見方だ。オーナー側も楽天島田オーナーとNPB加藤コミッショナーを団長とした交渉団が、8月にもWBCIと直接交渉する構え。選手会側も同時期に直接交渉の予定で、強気に働き掛けていくつもりだ。