<ソフトバンク3-2日本ハム>◇30日◇福岡ヤフードーム

 いやらしさに、やられた。日本ハム・ダルビッシュ有投手(24)がソフトバンク杉内との投げ合いにも、負けた。今季最多の145球も、8回3失点11奪三振ながら今季3敗目(13勝)。ともに松坂(レッドソックス)を超える通算46度目の2ケタ奪三振を達成した頂上決戦。1回、逆方向の打撃を徹底してきた相手打線に、真っ向勝負を求める一幕も。チームは連敗で、首位と2・5ゲーム差に広がった。

 マウンドを降りてからが、荒々しかった。ダルビッシュが約2カ月半ぶりの黒星に、アドレナリンが噴き出した。攻略されたソフトバンク打線を大胆に挑発し、謙虚に持ち上げた。今季終盤までデッドヒートを繰り広げることになりそうなライバルへのメッセージ。含み笑いを浮かべながら、場外戦の「直球勝負」に出た。

 ダルビッシュ

 ソフトバンクと西武(の打者)はブンブン振ってくるんで、気持ちのいい勝負ができていた。今日はいやらしいというか、汚い野球だった。いい野球をするな、と思った。(次回のリベンジへ)ブンブン振ってきてほしいですね。勝負として…。

 杉内とのエース対決。投手戦では敗者として、潔く散った。1点の援護をもらった1回に、2番本多から単打3本を集中された。4番小久保の同点の右ゴロを含めれば、事実上は「4連打」。8回1死一、二塁で再び、4番小久保で乱れた。初球に外角低めスライダーがワンバウンドして暴投。なお二、三塁とされ、追い込まれた。

 低めへの変化球勝負は、再度の暴投の危険性が脳裏をよぎった。「走者を進められたので、真っすぐしかなかった」。続く2球目の外角151キロを中前へはじき返され、決定的な2点の勝ち越しを許した。ソフトバンク打線は強振せず、センターから右方向への基本に忠実な軽打が中心。決め球をしつこくファウルでカットされるなど、消耗した。力技で対抗した今季最多145球の力投では屈したが、大きな節目は刻んだ。

 プロ7年目で46度目の2ケタ11三振で、レッドソックス松坂を超えた。この日、12K三振ショーのもう1人の主役だった杉内と並び歴代5位タイ。1年目の05年当時を、しみじみと振り返った。「松坂さん、杉内さんは一生超えることができないと思っていた。レベル的に追いついてはいないけれど、記録的に追いつけたのでうれしい」。

 パ・リーグ相手の連勝は9でストップ。ソフトバンクに2・5差に広げられた。自身の存在価値は再確認した。正真正銘の勝負どころのシーズン佳境へ-。強烈な宣戦布告で破竹の進撃をリセットした。【高山通史】