さあ、ラストスパートや! リーグ2連覇を狙う阪神と巨人の優勝争いがいよいよ佳境に入る。シーズン最終盤のキーマンは一体、誰になるのか。日刊スポーツ評論家の鳥谷敬氏(45)は投打で2人の名前を挙げた。

   ◇   ◇   ◇

阪神は2位巨人に3・5ゲーム差をつけた状態で、レギュラーシーズンの残り試合が「32」となりました。いよいよ大詰めを迎える優勝争い。最後の1カ月超、タイガースのキーマンは誰かと聞かれたら、野手の中では大山選手、投手では岩崎投手の名前を挙げたいと思います。

大山選手は打線の浮沈を大きく担う選手です。端的に表現すれば、彼の状態が良ければ、3番森下選手、4番佐藤選手と勝負してもらえるケースが増えるからです。佐藤選手、森下選手は8月24日現在、本塁打、打点、打率の3部門すべてでリーグの上位2人を独占しています。相手バッテリーは出来ることなら、この2人との勝負をいつだって避けたいはずです。ですが、2人との勝負を簡単に避けられないのは、5番に大山選手が座っているからです。

例年調子が上がる夏場に入り、大山選手の存在感は増しています。今月18日のヤクルト戦でサヨナラ本塁打、翌19日の同戦でサヨナラ犠飛を放ったように、ここ一番での勝負強さに磨きがかかっています。単打だけではなく長打も出ている大山選手が好調だと、相手バッテリーはなかなか「3、4番は歩かせてもいいや」と割り切れません。たとえ2人を歩かせても大山選手にドカンと長打を浴びたら、一気に複数得点を献上してしまうからです。

大山選手の状態が良ければ、相手チームは3番森下選手、4番佐藤選手を歩かせられません。ストライクゾーンで勝負せざるを得なくなり、ボールが甘く入る確率も上がります。そうなれば、佐藤選手、森下選手の打撃にもポジティブな影響が生まれます。逆に大山選手の状態が落ちれば、相手バッテリーは「最悪、歩かせてもいい」というマインドで際どいコースを攻めやすくなります。そんな観点から考えても、やはり大山選手の状態は打線の勢いを左右すると言えます。

一方の岩崎投手は現状、苦しい投球が目立っています。ただ、個人的にはシーズンが佳境を迎えれば迎えるほど、彼の力が必要になると考えます。

阪神の救援陣は8月に入って勝ちパターンのメンバーが徐々に固まってきました。及川投手の調子が良くなってきたことで、若いイニングから木下投手、及川投手、ドリス投手、工藤投手の4人でまかなうことが多くなりました。とはいえ、このまま順調に勝ち試合を続けられると仮定した場合、4人を投げさせ続けるわけにはいかないのも現実です。

たとえば3試合連続で僅差(きんさ)のリードが続いたとき、4人全員を3連投させられるかと言えば、決してそんなことはないでしょう。勝ち試合が続く限り、4人の誰かが投げられない試合が頻繁に訪れます。そんなとき、岩崎投手の存在が非常に大きくなるのです。

35歳になった岩崎投手は経験値が極めて高く、試合中盤の中継ぎ、セットアッパー、クローザーとすべての役割を全うすることができます。そんな彼は首脳陣にとって心強い存在に違いありません。シーズン最終盤は絶対に落とせない試合が続くこともあって、先発投手を早めに交代させるケースも増えがちです。リリーバーをどんどんつぎ込んでいく中、どんな場面でも送り出せる岩崎投手がブルペンにいるのといないのとでは、あまりに大きな差があるのです。

大山選手と岩崎投手。最後の1カ月超は長年チームを支え抜いてきた2人が底力を発揮してくれると期待しています。(日刊スポーツ評論家)

広島対阪神 8回裏広島、阪神4番手の岩崎優(2026年8月撮影)
広島対阪神 8回裏広島、阪神4番手の岩崎優(2026年8月撮影)