144試合できない!?

 阪神の日程繰りが深刻化してきた。台風接近で3日の横浜戦(甲子園)が中止。シーズン最後に回される追加日程が15日間で10試合の強行軍だ。セ・リーグではすでに、最悪のケースとして消化できない試合の「打ち切り」も想定。その時点で順位決定となれば、首位ヤクルトを追う阪神にとっては死活問題に発展する可能性もある。

 ノロノロと甲子園上空を通っていく台風12号に恨み言の1つも言いたくなる。強風と横殴りの雨はこの日も続き、2日連続で早々と中止が決まった。この2試合中止によって危険な影が忍び寄っている。

 「シーズン打ち切りの可能性も含めた話し合いをしている」。阪神関係者が眉をひそめた。

 首位ヤクルトを追いかける阪神にとって、打ち切りとなれば死活問題となる。残り試合が多い方が、逆転へのチャンスが多く残されるからだ。可能な限り早い段階で1勝でも多く積み上げ、首位を奪うのがベストのシナリオだが、むやみにスパートをかけるわけにもいかない。

 セ・リーグの規定ではクライマックス・シリーズ(CS)第1ステージ開幕の2日前の時点でCS進出チームを決める。「この時点で未消化の試合は打ち切ることがある」と明記されており、今年は10月27日がリミットになる。

 現時点で発表されている阪神の日程は10月12日の巨人戦(東京ドーム)まで。今季10試合が中止になったが、うち8試合が10月13日以降に振り替えられる。さらに未発表の試合も2つあり、計10試合が15日間の短期間に詰め込まれる。

 一見、まだ余裕があるように思えるが、球界の通例では追加日程の場合「10日間で7試合ほど」が消化できる目安とされ、阪神はギリギリのライン。相手との兼ね合い、移動日の設定などが絡み合って日程繰りは難航が予想される。内訳は甲子園6試合(横浜×3、広島×2、ヤクルト)横浜スタジアム1試合、神宮球場1試合、マツダスタジアム1試合。全権委任で日程を作成するリーグも頭を痛めているという。

 10試合はすべてオープン球場。さらに中止が重なることは十分あり得る。セ・リーグはダブルヘッダーでの対応も検討しているが、その当日が天候にたたられた場合はリスクがさらに増大する。27日までに消化できなければ、全144試合を戦わずして順位が確定してしまう可能性がある。となればペナントはもちろん、個人成績にも影響する。

 連戦や振り幅の大きい移動など、シーズン佳境でやっかいな“敵”が阪神を待ち受ける。今年は上位5チームが覇権を争う「乱セ」だ。球史にはシーズン最後の変則日程が生んだドラマが数多く残るが、あと1試合やれていれば…と悔しいエンディングだけは避けたい。「日程の女神」が阪神にほほ笑むことを祈るばかりだ。