<ロッテ1-4西武>◇25日◇QVCマリン

 西武が8連勝の快進撃だ!

 本塁打キング争いで独走する中村剛也内野手(28)の42号先制ソロが効いて、ロッテ先発ペンを序盤で攻略。3回までに4点をもぎ取り、岸が1失点完投と攻守の歯車ががっちりかみ合った。9月に入って最大15あった借金を2まで減らし、完済も、クライマックスシリーズ進出も見えてきた。

 本塁打キングを独走する中村の相手は個人でなく、チームだ。ロッテの今季39本塁打を1人で上回る男が、敵前で強烈な存在感を見せつけた。2回、先発ペンの悪球を軽々と左中間席に運んだ。ロッテに“3本差”をつける42号ソロに「高めのボール球だと思うけど、うまく打てました。体調がいいということでしょう」。ストライクでなくても、好調のバットが届く範囲にきたら関係なかった。

 統一球が導入されたが、スタイルもバットも変えることはない。昨年オフ、飛ばないボール対策に長いバットを試したが「しっくりこない」とすぐ元に戻した。バットの色は1度だけ変えたことがある。極度のスランプに悩み、練習用で使う茶色を公式戦で使った。それを見た中日和田に言われた。「打てそうな雰囲気を感じない。やめたほうがいい」。西武時代からお世話になる先輩から助言を受けてからは、こだわりの黒を使い続け、1人だけ別次元で打ちまくっている。

 主砲の先制ソロを合図に、攻守の歯車がかみ合った。3回にも内野安打を放ち、このイニング4安打を集中して3点を追加。先発岸を序盤から援護して楽にした。渡辺監督はソロ以上の価値を認め「すごく大きかった。久々のペンは思った以上に球がきていたけど、チームが『よし、いける』という雰囲気になった」。一振りで流れを呼び込んだ4番の仕事を絶賛した。

 2分けをはさんで8連勝。8月終わりに最大15あった借金は2まで減った。中村は「先に点をとった方が、うちのリズムに乗っていける。自分が打つ、打たないより、チームが勝てればいい。まず借金を一気に返済できるようにしたい」と意気込んだ。残り19試合。快進撃の勢いをさらに加速させたアーチが増えれば増えるほど、逆転CS進出に近づく。【柴田猛夫】