阪神藤川球児投手(31)が3日、ふがいない試合が続いていることに「ファンが減る可能性が高い」と、悲痛な思いを激白した。残り20試合で借金「6」。3位巨人に5・5ゲーム差をつけられ、今日4日にも自力クライマックスシリーズ(CS)進出が消滅する崖っぷち。フル回転も辞さずの姿勢で、巻き返しを誓った。

 藤川が、今日からの13連戦を前に、悔しさと危機感を募らせた。いいところなく敗れた前日2日の中日戦を振り返った。初回にあっさり4点を先制され、主導権を奪い返せないまま2-7で敗れた一戦。出番のなかったもどかしさ以上に、4万6484人のファンを気遣った。

 「シーズンを通したら、こういう試合もあるんだと思う。でも、せっかくファンもたくさん入っているのに、こういう試合をしていたら、(ファンが)減る可能性の方が高い。今まで阪神タイガースが築き上げてきたものを、崩すわけにはいかない」

 大事なものまで、失ってしまいそうな予感がした。守護神という立場上、チームが勝っていなければマウンドに立てない。9月はわずか5試合にとどまった。ここまでイニングまたぎの登板は1度もなく、余力は残っている。あと20試合でシーズンは終わってしまう。低迷するチームに対して声をからすファンに、ふがいない姿は見せられない。

 「自分は出たときにしか投げられない。一番(ファンが)入っていたときに、しょうもない試合をしないようにしないといけない。残り20試合、CSはもちろん、来年にもつながるような1試合、1試合にしていかないといけない」

 こんなはずではなかった。残り20試合。借金は「6」まで膨らみ、3位巨人とも5・5ゲーム差。今日にも自力CS進出が消滅する。9月30日中日戦のお立ち台で、チームを鼓舞した。「阪神タイガースは、選手も、スタッフも、コーチも、監督も、ファンも、底力はこんなもんじゃないと思います」。12日ぶりにマウンドに立った守護神の熱い言葉で、チームは息を吹き返すはずだった。だが、その後も2連敗…。

 今日4日から、京セラドーム大阪でのヤクルト戦。今季4試合に登板し、防御率5・40と相性の悪い舞台。「苦手」とはっきり口にするマウンドだが、持てる力を出し切るしかない。

 「苦手は苦手だけど、関係ない。どこでも投げるしかない。結果はどっちでもいい。やれることをやるだけ」

 悲壮な決意で、目の前のマウンドに上がる。【鎌田真一郎】