初対戦となったDeNAの先発ビドがもう少しまともに投げていれば、どうなっていた試合だろうかとは、正直、思う。ビドにすれば森下翔太の打球が二塁ベースに当たり、適時打になる不運もあった。それでも、それが勝負だ。そこに阪神打線がつけ込んだのは事実。大竹耕太郎がヒーローインタビューで流した涙にはジーンときたし、本当にいい連敗脱出になったと思う。
そんな試合で少し目を見張ったことがある。高寺望夢の代打安打だ。5点をリードしていた7回、1死一、二塁で先発・大竹耕太郎に代わって打席に入る。そこでロングマンとして好投を続けていたDeNAの2番手・若松尚輝から右前へ適時打を放ったのだ。
「走者をかえそうと思って打てたのでよかった。どこで出てもしっかり仕事ができるように意識してやっています」。高寺はきっぱりと話した。
これで高寺の代打成績は14打席、12打数6安打の4打点。打率は実に5割となった。代打成績には「規定打席」的なものはないと思うので評価は難しい。それでも「5割」はハンパではないだろう。代打安打数そのものもトップの選手で2桁に届くかどうかという状況。その中で「12の6」は相当なものだ。
この1打点そのものも大きかったと思う。前述したように若松には3回から4イニングで無得点に抑えられていた。その間、DeNAは少しずつ反撃している。そのまま終盤まで進んでいれば横浜スタジアムだけにイヤな雰囲気になるところ。そこで7回にマークしたダメ押しの1点はそれ以上の重みがあったはずだ。
「いい働きをしてくれたと思います。最初から出たいだろうし、まだまだプレーしたい、やりたいっていう選手たちの強さはこれからさらに必要になってくるんで」。指揮官・藤川球児も高寺の安打にそう目も細めたのである。
新たな「代打の神様」誕生か…、などとはあえて言うまい。球児が言うように若い高寺はまだまだレギュラーを目指す立場だ。近本光司不在の間、センターをカバーし、今季、もっとも成長した選手の1人に数えられるだろう。
「代打専門」という状況ではない。しかし、ここにきてガルシアの出現があり、左翼手争いが激化してきた。代打でも結果を出す高寺の勝負強さは、今後に向けて武器になるはずだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




