<広島3-1横浜>◇12日◇マツダスタジアム

 コイのルーキーが意地の熱投だ!!

 広島先発の福井優也投手(23)が今季2度目となる完投で、8勝目を挙げた。課題の制球が安定し、1四球にとどめ、9回1失点の好投だ。新人王は10勝をマークしている巨人沢村が最有力だが、負けじと奮闘した。

 シーズンも「最終盤」に突入し、福井は携帯電話を手に取った。ライバルの巨人沢村が白星を重ね、脚光を浴びるさなか、早大でともに戦った日本ハム斎藤にメールを送った。「沢村、すごいな」。宿敵の活躍をたたえつつも、悔しさがにじむ。「(斎藤とも)意識してやってこれた。まだ(シーズンは)終わっていません」。6日中日戦(ナゴヤドーム)は3回持たず、KOされた。ライバルに負けたくない。気合を入れ直してのマウンドだった。

 制球に苦しみ、四球を連発する悪循環を断った。1回2死二塁のピンチでは村田をスライダーで遊飛に抑えて、スキを見せない。6回、筒香に左前適時打を浴びた1失点だけ。テンポ良く球を低めに集めた。それでも7回2死後、山崎にこの日初めて四球を許したことには「『四球はダメだ』と思ったときに出た四球だった。2死からもったいない…。なくしたい四球です」と反省は忘れなかった。

 登板6試合連続で勝利から見放されていた。8月31日のヤクルト戦(神宮)以来、1カ月半ぶりの今季8勝目は雑念を振り払った結果だった。「考えすぎが良くなかった。全部行くつもりで投げていった」。投球動作、制球など課題は多いが、この日はシンプルに原点回帰。これが奏功したのか右足は普段より折れず、軸で立って投げられた。ユニホームの右すね部分に付く土が、いつもより少なかったのが、その証明だ。

 完投で一気に今季142イニングまで積み上げた。残り2回で最終規定投球回数に達する。「終わってみて、自分が良かったと思う最後の投球をしたい」。1年間のローテーション死守を誓ったのは開幕前。有言実行する-。プロ1年目総決算のときがやって来た。【酒井俊作】

 ▼広島福井の今季通算投球回数が142回となり、規定投球回数まであと2イニングとした。広島のルーキーで規定投球回数達成は過去、51年杉浦、52年太田垣、62年池田、82年津田、90年佐々岡、95年山内、97年沢崎と黒田の8人。福井が次回登板で2回を投げきれば、14年ぶりとなる。