日本ハム田中賢介内野手(30)に「FA(フリーエージェント)故障者特例措置」が適用され、海外移籍が可能となるFA権を取得することが24日、分かった。田中は6月18日の広島戦(マツダ)で左足を骨折。翌19日に登録を抹消されたため、1軍登録日数は、FA日数規定の1シーズン(145日)に及ばないが、球団はこれまでの貢献度なども考慮し、特例措置の申請を行う方針。田中は昨オフに3年契約を結んでおり、権利は行使しない見込みだ。

 クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ西武戦(29日開幕、札幌ドーム)での復帰へ向けて急ピッチで調整を続けている田中に、海外FA権の取得という一流選手としての証しが届く。故障で離脱した今季の登録日数は68日で、昨年まで(8年73日)と合わせても8年141日止まりとなり、FA日数で1シーズンと換算する145日に満たないが、球団は「故障者特例措置」を適用する方針。申請が承認された時点で通算9シーズンに達し、海外移籍が可能なFA権を取得することになる。

 選手会長も務める田中は、不動の「1番二塁」としてプロ12年目の今季をスタートした。だが、6月18日の広島戦(マツダ)で盗塁を試みた際に左足かかと付近を故障。左距(きょ)骨骨折と診断され、同27日に手術した。

 当初は全治4~6カ月と診断されたが、先月中旬からはランニングを再開。現在は宮崎で行われているフェニックスリーグで調整中と、周囲の予想よりも早く回復はしているが、公式戦の出場はないまま終了していた。だがグラウンド上でのケガが原因での登録抹消で、球団も特例措置の適用ケースと判断。最大60日を加算できる同ルールにのっとって手続きを行うことになった。

 田中は昨季途中に国内FA権を取得しているが、昨オフに3年契約を結んでいる。来季は契約2年目となり、取得することになる海外FA権は今回も行使しない見込み。故障でシーズンの大半を棒に振り、チームも優勝を逃した悔しさを胸に、残されたポストシーズン、そして来季を戦うことになる。

 ◆故障者選手特例措置

 07年から導入された救済制度。グラウンド上で起きた故障が要因で、出場選手登録日数が145日に満たない場合、最大60日が加算される。前年の出場選手登録が145日以上の選手しか適用されない。また、適用選手は翌年適用の対象外となる。07年に福留孝介(当時中日)、08年に多村仁志(ソフトバンク)がこの制度でFA権を取得した。