どこでも、だれでも、かかってこい!

 中日森野将彦内野手(33)が10月31日、ヤクルトとのCSファイナルステージ(2日から、ナゴヤドーム)へ向け、特打ちを敢行した。シーズンでは不振に陥った主砲だが、短期決戦で爆発するために万全の準備をした。館山、石川、赤川と強力先発陣を擁する相手に対しても特別な対策を講じることなく自信をのぞかせた。

 全体練習が終わったナゴヤドーム、森野はバットを手にした。2日後に迫った決戦へ向けて、仕上げの作業だった。荒木とともに快音を響かせること約30分、納得したようにバットを置いた森野の表情は、すがすがしかった。

 「いい特打ちでした。自分の思っているようなスイングができるか、できないか。シーズン中よりはよくなっていると思います」

 レギュラーシーズンでは打率2割3分2厘、10本塁打、45打点と想像を超える不振に陥った。スコアボードに表示される打率2割台の数字に、調子が悪いと錯覚してしまうこともあった。だが、それらをリセットして始まるのがCSという短期決戦。心身をリフレッシュするとともに、打撃の状態も上向いてきた。

 森野が球場を去った後、神宮ではヤクルトが巨人との激闘の末にファイナルS進出を決めた。今季最後まで優勝を争った相手は館山、石川、赤川、そして、ファーストSではリリーフにまわっていた村中、増渕と強力先発陣を擁する。リーグ最低打率のオレ竜打線にとってアドバンテージの1勝、本拠地で戦う地の利と有利な材料があっても不安は拭い切れない。ただ、森野はそんな周囲の見方を一蹴してみせた。

 「相手は関係ないです。いまさら特別なことをする必要もない。(対策も)何も考えていませんよ。相手が次、投げてくる球なんてわからないんですから、対策なんてしようがないんです。あとは自分がいい流れになるようにするだけ」

 荒木、井端、ブランコ、和田、谷繁と中心選手のほとんどが右打者だけに、打線の中で森野が果たす役割は大きい。それでも、気負いは一切なし。相手を意識しないその姿勢が、逆に自信をうかがわせた。【鈴木忠平】