<セCSファイナルステージ:中日1-2ヤクルト>◇第3戦◇4日◇ナゴヤドーム
ヤクルトが2連勝し、タイに戻した。同点とされた直後の5回、先頭の新人山田が粘って四球で出塁。1死二塁から3番青木宣親外野手(29)が、右前に勝ち越しの適時打を放った。4回途中からは5人の継投で反撃をしのぎ、1点のリードを守った。レギュラーシーズンで2勝9敗1分けだった鬼門で連勝。今日5日の第4戦は、勝てば日本シリーズ進出へ王手となる大一番だ!
強くたたきつけた打球が、ナゴヤドームの一、二塁間を抜けた。二塁に到達した青木が、静かに右拳を振り下ろす。敵地に集まった燕党の大歓声が沸き起こった。同点に追い付かれた直後の5回。1死二塁から、中日山井のシュートを狙った。「流れを持っていかれないためにも、すぐに取り返すことができて良かった」と喜んだ。
パパになって初の決勝打だ。10月28日に佐知夫人(28)が第1子となる長女を出産した。練習を終え、都内の病院に駆け付けた約10分後。薄いドア越しに、か弱い産声を聞いた。父の到着を待っていたかのようだった。「涙が出そうだったけど、こらえましたよ」。
予定日は27日。CSファーストステージは29日開幕だった。「何とかCSの前に生まれてくれたら」と願っていた父に応えた愛娘。2日には退院。この日の試合前には電話で泣き声を聞いた。「まだ1週間だけど、しっかりした顔立ちかな」と、写メールで顔を見つめる毎日だ。
守るべき家族が増えた男は強い。8回は中日浅尾の直球を右前に運んだ。これでCSファイナルステージ3試合で打率4割5分5厘と、お祭り男の活躍だ。CS開幕までの期間、トレーニング方法を変えた。体幹を中心に、肩回り、股関節回りなどを鍛え、体のバランスを見つめ直した。「状態はいいですね。今シーズン一番かも。こんなに早く効果が出るとは思わなかった」。打順は1番、4番、3番と日替わりだが、お構いなしで打ち続けている。
今オフ、ポスティングシステム(入札制度)で、大リーグに挑戦することが濃厚になっている。5回は新人山田が四球で出塁し、自主トレを共に行ってきた後継者候補、上田の犠打で作ったチャンスだった。次世代のヤクルトを担う若手たちに、背中で見せた決勝打だ。
これで2勝2敗のタイに持ち込み、今日5日に勝利すれば、日本シリーズ進出に王手が懸かる。小川監督は「(青木は)子供が生まれたので期待していたけど、その通りになった」と喜んだ。前日の代打飯原の決勝ソロに続き、2回には中日を戦力外になった森岡が先制打を放った。脇役の活躍が続く中で、主役が放った決勝打。のり出せば強い、ヤクルトの勢いが止まらなくなってきた。【前田祐輔】



