<日本シリーズ:ソフトバンク1-2中日>第6戦◇19日◇福岡ヤフードーム

 どんな球でも対応できる。ソフトバンク内川聖一外野手(29)が0-2の4回無死三塁で迎えた第2打席に、技術の高さを見せつけた。谷繁は2球続けて内角を突いた後、徹底的に外角の変化球で勝負した。内川は際どい5球をファウルでカットし甘い球を待った。そして、8球目だ。谷繁は外角のフォークを要求したが、コースは内角へ。高めに浮いた球を見逃さずに、おっつけて右前へ運んだ。

 「打ったのはフォークだと思います。ポン(本多)がよく(三塁打を)打ってくれました。チャンスを無駄にしたくないという思いだけでした」

 試合前には立花打撃コーチから「外角の変化球を追いかけすぎずに内角の甘い球を待とう」という指示が出ていた。だが、内川は「ミーティングはあくまで参考。先入観を捨て打席で最善の策を考える」という。外角の変化球に食らいついて、最後は内角に少し甘く入った変化球を仕留めた。

 中日谷繁の巧みなリードに「すべてを見透かされている気がする」とこぼしたこともある。第1戦の後には「体が思ったよりも張っている」と言い、この日の試合前には「早く終わってほしい。疲れた」と珍しく弱音を吐いた。プロ11年目で初めて日本シリーズという大舞台を経験。シーズン以上に消耗し、谷繁に思うような打撃をさせてもらえていない。だが、この日の初打点で自分らしさを取り戻した。

 3勝3敗の五分となった。今日の第7戦ですべてが決まる。秋山監督は「何はともあれ明日が最後」と言い聞かせた。この日は最多勝のホールトンを中継ぎとして待機させ、投手陣は総動員で勝利だけを狙っていた。投手への援護はわずか1点のみ。だが、不動の3番に2試合連続安打が出たことをプラスに考え、最終決戦に臨むだけだ。

 「今年のオフ予定は何も入れていない。アジアシリーズまでいくつもりで予定を立てているから」と話していた内川。谷繁とハイレベルな攻防も今日が最後。どんな球でも安打にできる高い技術を持つ史上2人目のセ、パ両リーグ首位打者。悲願の日本一へ、最後の力を振り絞るだけだ。【奈島宏樹】