<日本シリーズ:ソフトバンク3-0中日>◇第7戦◇20日◇福岡ヤフードーム

 113球目。ソフトバンク杉内俊哉投手(31)は最も得意な球で勝負した。7回2死一、二塁。外角低めのチェンジアップで藤井から空振り三振を奪い、ピンチを切り抜けた。日本一を確信したのか、グラブをポンとたたき、喜びを爆発させながらベンチへ引き揚げた。

 「正直、昨日で決めてくれと思っていた。やっとチームに貢献できた気がします。良かった。ホッとしました」

 3勝3敗で迎えた第7戦。非運のエースに勝敗の行方は託された。「今年はそういう年と思っている」。シーズンの防御率は1・94。だが、打線の援護に恵まれずに8勝止まり。日本シリーズで言い聞かせたことは「いつも通り投げること」。中日打線を7回3安打無失点。神様は完全復活の舞台を用意してくれた。

 今年2月の宮崎キャンプ中だった。ブルペンでの投球練習中に突如、投球を切り上げた。「やめた。意味がない。ムダな時間を過ごした」と声を荒らげた。思ったような投球ができない自分に怒りを爆発させた。常に自分を追い込み、完璧な投球を求めてきた。

 キャッチボール1球もムダにしない。今季から加入した内川は「杉内さんがいろいろな球種を試しながら投げる姿を若手が真剣に見ていた。ソフトバンクの強さを感じた」と感心する。普段は投げない変化球も試す。貪欲(どんよく)な姿勢で大きくはない体でタカのエースを張ってきた。

 今年4月に国内FA権を取得。球団とはシーズン中から残留を前提とした交渉を継続的に行っている。「アジアシリーズが残っている。アジア一になれるように頑張る」とさらなる高みを見据えた。【奈島宏樹】