プロ野球の発展に貢献した監督、選手に贈られる「正力松太郎賞」の選考委員会が22日、都内で行われ、ソフトバンクを日本一に導いた秋山幸二監督(49)が選ばれた。91年に西武の外野手として選出されており、自身2度目。選手と監督で受賞したのはソフトバンク王貞治球団会長以来、2人目となった。表彰式は12月1日のプロ野球コンベンションで行われ、賞金500万円が贈られる。

 激闘の日本シリーズを制した2日後、秋山監督に朗報が届いた。初の国際舞台となるアジアシリーズへの全体練習を再開させたこの日、「正力松太郎賞」に選出された。選手と監督で受賞するのは、尊敬する王球団会長以来2人目だ。選手としては西武時代、日本シリーズで4本塁打してMVPに輝いた91年に受賞している。受賞会見で、快挙の感想を素直に表現した。

 秋山監督

 ビックリしています。大変光栄に思っています。(前回)いただいたのは覚えていますが、どの年にもらったのか。昔のことで…。

 過去の栄光に浸ることなく、前進し続けてきた男らしい。今季のホークス躍進そのものを象徴している。昨年は監督として初のリーグ優勝を成し遂げたが、秋のCSで王手をかけてから3連敗。優勝の喜びよりも、悔しさが忘れられず、日本一だけに照準を絞った。今季、11球団に勝ち越す史上初の完全優勝。CSも3連勝で乗り越え、第7戦までもつれた日本シリーズを最後の最後で制した。

 秋山監督

 本当にいい年になった。でも、僕だけの力じゃない。周りの人の力があってこそ。選手、スタッフの支えがあってのこと。感謝しています。

 時に優しく、時に厳しく選手に接してきた。家族に不幸があった選手は、チーム帯同を直訴してきても、強制的に帰した。悩む姿を見ると、監督室に呼んで、心の内に耳を傾けた。ただ、グラウンドでは、勝負の鬼。不調とみれば、松中、カブレラ、オーティズ、多村ら主力組も控えに回した。日本シリーズでは調子の上がらなかった守護神馬原ではなく、抑え役にファルケンボーグを指名。先発摂津もリリーフ投入する大胆策でホークス8年ぶりの日本一をもたらした。

 秋山監督

 アジアシリーズではホークスらしい戦いをしたい。勝ちにいく。

 快挙の喜びもつかの間だった。次の目標はアジア制覇。秋山監督が最後まで走り続ける。【松井周治】<選考経過>

 王貞治座長が雑談ふうに「このところ選考されるのが監督ばかり。選手で今年一番という人はいませんかね」と切り出し、田口委員が「選手にはMVP、沢村賞などいっぱい賞があるが、監督にはない。優勝監督に集中するのはそのせい」と話した。両リーグ首位打者のソフトバンク内川、48本塁打の西武中村の名前も挙がったが、反応はいまひとつ。杉下委員の「交流戦、公式戦、CS、日本シリーズを完全制覇したソフトバンク秋山監督にはかなわない」という意見が委員会を支配し、満場一致で決定した。

 ◆正力松太郎賞

 1934年(昭9)に日本初のプロ球団、大日本東京野球倶楽部(現巨人)を創設し、日本のプロ野球発展に大きな功績を残した故正力松太郎氏(読売新聞社長)を記念して77年に制定された。その年のプロ野球界で最も貢献のあった競技者(監督、コーチ、選手、審判)に授与される。選考委員会が選考、金メダルと賞金500万円が贈られる。

 ◆選考委員

 王貞治氏(座長、ソフトバンク球団会長)杉下茂氏(野球評論家)中西太氏(日刊スポーツ評論家)山本浩二氏(野球評論家)田口雅雄氏(野球ジャーナリスト)