プロ野球現役選手によるシンポジウム「夢の向こうに」が21日、宮崎県総合運動公園で行われた。今回は、テストケースとしてプロ選手がグラウンドで高校球児に指導する形を導入。巨人から小笠原道大内野手(38)亀井義行内野手(29)ら7選手と、ソフトバンクから岩崎翔投手(22)ら4選手が参加した。宮崎県内の47校の硬式野球部員459人が指導を受けた。

 グラウンドでユニホーム姿の高校生にプロが指導する。何でもない光景だが、かつてない光景だった。巨人小笠原は1人5球(午後の部は4球)のティー打撃を凝視すると、1人1人の長所と短所を端的かつ丁寧に指摘した。両肩やバットをつかんだり、文字通り、手取り足取りの熱血指導だった。「『スタンスが広いんじゃないか。だから、上半身が十分に回転できていないぞ』と言っていただきました」と目を輝かせる高校球児。手抜きのない指導に、2時間2部制、計4時間の指導はあっという間に過ぎていった。

 実松は捕手のキャッチング、二塁へのスローイング、ワンバウンド捕球。亀井や松本は外野守備や走塁。ソフトバンク岩崎ら投手は、マウンドで投げる投手に助言を送った。複数のグループに分かれて、宮崎県内のすべての硬式野球部に接することができた。プロアマの垣根を低くしようと、03年12月に始まった「夢の向こうに」は、ついにグラウンドでの直接指導までたどり着いた。

 「吸収したいんだと、その気持ちには全力で応える」と小笠原。高校生の熱意に、選手も応えた4時間だった。小笠原の顔には「時間が少ない。もっと教えたいのに」と苦悩する気持ちすら書いてあった。「『頑張れよ』の一言でも頑張り方が違ってくるかもしれない。高校の監督らとも、みんなで協力し、レベルアップできればいい。参加できて、個人的にはよかった。継続してやっていきたいし、やってもらいたい」と、アマとの交流に積極的に携わっていきたいと話した。

 和やかな1日が終われば、プロアマの垣根はまた現れる。昨年2月、母校以外での練習は条件付きで認められ、2月にさらに緩和される予定。「母校とか限定するのではなく、誰とでも、どこでも、できるようにしていけたらいい。近所の子供とかね。今日がそのための1歩になればいい」。夢の向こう側に近づきたいと、小笠原は言った。【金子航】