中日井端弘和内野手(36)が、弾丸二塁打で健在をアピールした。沖縄・北谷キャンプ第2クール3日目の9日、シート打撃で左中間を真っ二つ。野手陣のべ40人で4安打の低調に高木監督がカミナリを落とす中、出場最年長が唯一の長打で魅せた。3年ぶりに復帰した遊撃守備も上々。復活を期すベテランが元気だ。

 弾丸ライナーが左中間を真っ二つに割った。まるで長距離打者のような弾道だ。36歳ベテラン井端が、ひと味違う力強さを魅せた。今季初安打は悠々二塁に達するスタンディングダブル。シート打撃で中田賢の内角高め、138キロの真っすぐを完璧にはじき返した。

 井端

 いや、詰まってる感じです。でも(右手で)押し込めた。僕を侮ってもらっちゃあ、困りますよ。

 軽口は手応えの表れだ。打ち出の小づちは何と、重さ1キロのマスコットバットだった。「統一球は詰まると飛ばない。だから重くする」。昨季打率2割3分4厘と苦しんだ統一球対策で、900グラムの試合用バットを930グラムの自己最重量に変える。その前にもっと重いものを振り込もうと、沖縄に鍛錬用の1キロバットを持ち込んだ。それをいきなり実戦形式で使いこなすのだから、本物だ。

 井端

 違和感なく使ってるし、ボールも見えています。でもまだ投手のフリー打撃にも立ってなかった…。その割には良かったけど順番、間違えてますよね。

 あまりの好調ぶりに本人が目を丸くした。通常は現役投手のフリー打撃で生きた球を見てから実戦形式に臨む。だが前日から連続でシート打撃に志願参加。完全に1段階飛ばしている。

 「2年続けてストレスのたまるシーズンだったので発散したい」。今季の誓いは、目の異常で1年を棒に振った一昨年から3年越しの完全復活。そしてもう一つのモチベーションに、3年ぶりの古巣復帰がある。

 井端

 ちょっとじゃない。だいぶ楽しい。すごく新鮮な気持ちでやってます。

 自ら望み、高木監督が荒木との入れ替えで遊撃復帰をかなえてくれた。セカンドではなく、ショート。これこそ、井端が生きる道。キャンプ初日から早出特守を1日も欠かさず、動きも軽快だ。今や輝くベテランになっている。

 高木監督も絶賛だ。若手主体のシート打撃は、のべ40人でわずか4安打。指揮官は円陣で「スタンドのファンが寂しいって言ってるぞ!」と観衆のやじをカミナリに変えた。そんな中で飛び出した唯一の長打が、出場最年長の井端だった。

 高木監督

 若手は物足りんね。(でも)井端はあれだけ連日早出もやって、実戦も慣れていこうとしている。体調もいいでしょう。

 文句なく9日のMVP。ベストナイン&ゴールデングラブ賞返り咲きへ背番号6が元気だ。【松井清員】