阪神ドラフト1位伊藤隼太外野手(22=慶大)が13日、沖縄・宜野座キャンプで最多となる猛烈708スイングを振り込んだ。通常の打撃練習に加え、2時間ぶっ続けでロングティー→特打→素振りと続ける超ハードメニューに挑戦。特打で自己最多6本の柵越えもマークした。今日14日の練習試合・広島戦(沖縄)にも「1番中堅」でスタメン出場予定。ハヤタのエンジンがかかってきたぞ~!

 「ウォリャ~!」。バットを振る度に、伊藤隼が雄たけびを上げる。打撃ケージにいるのは、スマートな慶応ボーイではない。泥臭く必死にバットを振り続けた。特打の226スイングを終え、片岡打撃コーチから指令が飛んだ。「放り込んだら終わり」。227スイング目もこん身のフルスイング。放たれた打球は、右翼席に消えた。

 伊藤隼

 結構(疲労が)きてますけど、キャンプなんで。1本1本気持ちを入れてやりました。大学時代もやってましたけど、グラウンドでバンバン打っていなかったので。

 疲れがピークに達しているはずなのに、設定されたハードルを1発でクリアしてしまうのだから、並のルーキーではない。特打で自己最多の柵越え6本。一緒に特打を行った中谷将大捕手(19)は229スイングで4発に終わった。その隣で、鉄人ぶりを存分に見せつけた。指揮官は鉄人の先輩2人を引き合いに出し、ハードな特訓の意図を説明した。

 和田監督

 トリ(鳥谷)とか、カネ(金本)とかと同じで、振り込んで、振り込んでというタイプ。

 午後から始まった通常の打撃練習は、ティー打撃125スイングの後、屋外フリー打撃31本で終了。ここからが本番だった。ロングティーで190スイング。さらに特打で227回バットを振り回し、仕上げは素振りしながらグラウンド1周の135スイング。2時間ぶっ続けで552振を加え、総スイング数はキャンプ最多の708に達した。慶大時代に1日1000振をこなしていた体力は、だてではなかった。

 伊藤隼

 そんな簡単に(何かを)つかめたら苦労しないですよ。

 苦笑いで振り返ったが、振ることに意味があった。この日も打撃フォームの試行錯誤を続けた。フリー打撃では、構えた際のグリップの位置を顎付近まで上げ、特打でもノーステップ打法や、すり足打法を取り入れた。ベストな打撃フォームを求め、自分で考え実践している。和田監督も「彼、本来のフォームが固まってきた時には、もっと、もっと、できてくると思う」と期待を寄せた。

 今日14日の練習試合・広島戦にも「1番中堅」でスタメン出場する。5打数2安打1打点と躍動したデビュー戦に続き、結果を積み重ねたい。驚異の体力を見せつけた鉄人ルーキーは、開幕スタメンへ自分らしいプレーを貫く。【岡本亜貴子】