<広島1-0中日>◇11日◇マツダスタジアム

 18歳のルーキーがうれしいプロ初安打だ。中日のドラフト1位・高橋周平内野手が、広島戦で「8番三塁」で初スタメン。5回、広島大竹の142キロ直球を左中間に運ぶ二塁打を放った。将来の主砲と期待され、1軍で英才教育を受けながらも、ここまで9打席ヒットなし。プロ10打席目にしての初安打が長打と、非凡な才能の片りんをみせた。

 18歳が確かな輝きを放った。先頭打者で迎えた5回。広島大竹の142キロ直球をスムーズなバットコントロールで振り抜く。打球は左中間を真っ二つに破る二塁打。プロ10打席目にようやく飛び出した初安打にこわばった表情も和らいだ。

 高橋周

 1本出たことはホッとした。ファーストストライクから思い切って振っていこうと思っていました。

 高木監督の抜てきに応えた。前日10日のウエスタン・リーグ、ソフトバンク戦で“プロ1号”を放つなど状態が上向き。加えて「大竹が左に(相性が)悪いから」(高木監督)と大チャンスが巡ってきた。試合直前のシートノックの時に渡辺内野守備走塁コーチから先発を告げられ「みんなが期待していないと思ったんで自分のできることをしようと思った」と燃えた。

 昨年のドラフトで3球団競合した期待のスラッガーといっても年は18歳。中日の高卒新人としては立浪和義以来、24年ぶりに開幕1軍切符を手にしたが、この試合まで7打数無安打と重圧に苦しんでいた。先週末の地元横浜遠征では、家族そろってすし店に出向き、リフレッシュ。この日、神奈川県内の実家でテレビ観戦した母・玉寄さんも「これでホッとしたでしょう」と喜んだ。

 チームは6安打を放ちながら今季初の完封負け。首位キープも2連敗で試合がなかったヤクルトに並ばれた。そんな敗戦の中で光があった。「そら、こっちは打つもんと思って出してるんやから」と高木監督。これからの活躍が大いに楽しみだ。【桝井聡】

 ◆高橋周平(たかはし・しゅうへい)1994年(平6)1月18日、神奈川・藤沢市生まれ。東海大甲府(山梨)で甲子園出場はないが、昨年8月にアジアAAA選手権日本代表に抜てきされMVP。高校通算71本塁打。昨秋ドラフト1位でヤクルト、オリックスとの3球団競合の末に中日が引き当てた。180センチ、85キロ。右投げ左打ち。