<日本ハム8-9西武>◇12日◇函館

 日本ハム斎藤佑樹投手(23)が12日、西武7回戦(函館)に先発し、自己ワースト9失点で2回途中KO降板となった。最高気温12・6度、最大瞬間風速17・5メートルを記録する悪条件の中、制球を乱し、1回にいきなり4失点。2回も自らの失策が絡むなど失点を重ね、1回1/3を6安打9失点(自責4)。今季最短でマウンドを降り、プロ初の地方球場、スライド登板というハードルをクリアできなかった。

 ぼうぜんとベンチから見守るしかなかった。あまりにも早すぎる2回途中でのKO劇。「こういうことは、めったにない」。1回1/3を6安打9失点。うつむきながらマウンドを降り、無表情で試合を見つめるしかなかった。試合後も悔しさから、心の中を整理できない。「自分の調子自体は悪くなかったはず…」。言葉を絞り出すように、試合を振り返ることで精いっぱいだった。

 我を失った。象徴的だったのは2回1死三塁でヘルマンを迎えた場面。この時点で8点を失っていた斎藤は、冷静さも失っていた。打球は投ゴロ。しっかり捕球し、三塁走者を挟殺プレーでアウトにするため、三塁手の小谷野へ送球したが悪送球。9点目を献上した。栗山監督も「三塁への送球を見て、頭の中が真っ白になっていると思った」と交代を決断。終盤に打線が猛烈な追い上げも、わずかに届かず。自らの失策で与えた1点が、結果的には大きくのしかかった。

 悪条件の中、全く修正できなかった。「(10日にQVC)マリンで投げる予定でしたし、風が強いのは変わらない。もっと慎重にいくべきだった」。1回は先頭の栗山にストレートの四球。リズムが崩れ、いきなり4失点すると2回も先頭の原に四球を与えた。「ちょっと難しいですね。そこから立て直すのは」。この日の函館は強風が吹き荒れ、気温も低かった。厳しい環境の中で、思い通りにいかない制球。精神的にも追い込まれてしまった。

 楽しみにしていた函館での初登板は大乱調。栗山監督は「大きな肥やしにしてほしい」と、成長の糧にすることを求めた。帰りのバスに乗る際も、ファンからは「がんばれ」と声援が送られた。シーズンはまだまだ長い。取り返すチャンスもまだまだある。プロ入り後ワーストの内容を経て、次にどんな投球を見せてくれるのか。チームもファンも斎藤の進化に期待している。【木下大輔】