ニックもベテランも体育座り!?

 広島野村謙二郎監督(45)が14日、野手陣に青空の下でカツを入れた。マツダスタジアムでの全体練習前に、野手陣を芝生の上に座らせ約10分間、ハッパを掛けた。1年前の交流戦は6勝16敗2分けで12球団最下位となり、借金10を抱えた。ここまで86得点はリーグ最少。打線の奮起が、苦手交流戦を克服するカギとなる。

 気持ちを1つにした。練習前の野手ミーティング。立った状態で話をするのが通例だが、野村監督は座るようにうながした。ベテランの前田智も、石井も、外国人のニックも、マツダスタジアムの外野芝生の上に腰を下ろした。青空の下、いま1度心を落ち着けた状態で、指揮官は話し始めた。約10分間、交流戦を前にして、初志貫徹することをナインと再確認した。

 野村監督

 急に交流戦だからと、かしこまるわけではないけど、ここまで良くないから。打線が機能していないからね。でも、2月からやってきたことを信じてやろう。交流戦に入っても、信じてやっていこうと。交流戦で結果が出ていないことは、僕も選手も分かっているから。

 鬼門の交流戦を、意識しないわけにはいかない。05年以来7年で勝ち越したのは、わずか2回。昨季に限っては6勝16敗2分けで最下位。パ・リーグのエース級投手にねじ伏せられ、期間中に50イニング連続無得点のリーグ記録も塗り替えた。チーム打率も12球団ワーストの2割9厘。打線がカギを握ることは間違いない。

 開幕以来、投手陣の踏ん張りに助けられてきた。今までの14勝は、すべて相手を2点以下に抑えた試合で手にしている。だが、5月に入ってから投手陣にも疲れが見え始めると、一気に下降線をたどった。一時は4あった貯金が、今となっては借金6。チーム打率2割1分5厘で、37試合で86得点はリーグ最少だ。

 主砲の離脱も追い打ちをかけた。栗原が右肘痛で欠場した4月25日阪神戦(甲子園)以降は、16試合で4勝11敗1分けと失速した。だが、代わって4番に入ったニックが軸となり、打線にもつながりがでてきた。前日13日中日戦では、今季初めて1イニング4得点を挙げた。1試合で2度追いついたのも初めてだった。

 スタートダッシュに失敗した野村広島にとって、仕切り直しはチャンスとも言える。一からのスタートで、少し遅いこいのぼりを揚げる。【鎌田真一郎】