<中日6-4ソフトバンク>◇27日◇ナゴヤドーム
父にささげる涙の記念星だ。今季初登板となった2年目の中日武藤祐太投手(22)がプロ初勝利を挙げた。4-4の5回から2番手で2イニングを1安打無失点に抑えた。今年4月に父直樹さんが脳幹出血のため42歳の若さで死去。天国の父に最高のプレゼントを贈った。チームは3連勝で今季最多の貯金「11」。首位をガッチリとキープした。
背番号25は人生初のお立ち台で目にうっすらと涙をにじませた。最愛の父がこの世を去ってから1カ月半。胸には抑えきれない思いがこみ上げた。試合後に会見室に現れた武藤は冷静に言葉をつなげた。
「見ててくれると思います。早くお母さんに連絡してあげたい。家に帰ってゆっくり電話してオヤジに線香を上げてくれって言おうと思います」
今月中旬に1軍に合流したが、投手、野手の登録枠の関係で1軍登録されたのは23日だった。待ちに待った登板で2回無失点。140キロ台後半の直球を次々と投げ込み、ヒットは5回1死から内川に許した二塁打だけだった。高木監督も「ああいう展開になったからプレッシャーもかかっていたはず」と褒めた。
1年目の昨季は中継ぎとして7試合に登板するも防御率は4・15。必死で自分の投球スタイルを見直した。課題の制球力をアップさせるためにワインドアップからセットポジションに変えた。投球の幅を広げるために先輩朝倉からシュートの投げ方を教わった。
長男である武藤は、先月16日に地元・埼玉県内で営まれた通夜で喪主を務めた。親戚らが集まる前で「これから1軍でプレーする姿をオヤジに見せたい」とあいさつした。1軍で活躍する姿を夢見ていた父にプロ初勝利を誓っていた。
この日、試合後にウイニングボールを手渡された。念願の記念球。来月上旬の埼玉遠征の際に実家に持って帰る。【桝井聡】
◆武藤祐太(むとう・ゆうた)1989年(平元)6月14日、埼玉県生まれ。飯能南で甲子園出場はなし。ホンダでは2年目の日本選手権で優秀選手に選ばれる。10年ドラフト3位で中日入り。昨季は1軍登板7試合で未勝利。178センチ、85キロ。右投げ右打ち。



