<ヤクルト1-4楽天>◇27日◇神宮

 楽天枡田慎太郎内野手(24)がルーキーに借りを返した。ヤクルト戦(神宮)の4回に追加点となる犠飛を打ち上げ、プロ2度目の登板となった釜田佳直投手(18)に貴重な4点目をプレゼント。釜田が初登板した20日の阪神戦では拙守を連発して足を引っ張ったが、この日は守備もミスなくこなして釜田のプロ初勝利をアシスト。チームの連敗は2で止まった。

 楽天枡田はやっと心から笑うことができた。釜田のプロ初勝利をベンチで見届け、クラブハウスへ引き揚げながら「初登板の時はえらい迷惑をかけてしまった。何とか今日は貢献できてよかったです」とほっとした表情を浮かべた。敵地神宮のファンの声援も、この日ばかりは温かかった。枡田はその歓声を浴びながら、記念すべき1勝の価値をかみしめていた。

 4回に中村の適時二塁打と敵失で3点を先制し、なおも迎えた1死三塁。枡田は館山の初球ストレートを打ち上げ、左翼フェンスぎりぎりまで運んだ。犠飛には十分な当たりで4点目をもぎとった。ルーキー釜田も「一気に4点を取ってくれたんで、それが大きかった」と感謝する貴重な一打だった。守備機会は1度と少なかったが、ミスなくこなしてベンチに下がった。

 心の傷はなかなか癒えなかった。20日の阪神戦では遊撃でスタメン起用されながら、1点先制後の1回裏に守備でミスを連発。プロ初登板のルーキーをもり立てなければいけない立場のはずが、ゴロ処理にもたついて釜田の3回降板のきっかけをつくった。「あの日はダメージがでかかった」。23日の中日戦でプロ7年目の初アーチを放ち、ヒーローとなっても「今までミスばかり」と謝罪の言葉を並べた。それだけに釜田のプロ初勝利への貢献が心からうれしかった。

 枡田は試合後、釜田に「おめでとう」と祝福の言葉をかけた。ルーキーは「ありがとうございます」と答えた。前回の阪神戦では「すまん」と謝罪。「大丈夫です」と返された釜田とのやりとりとは正反対の内容だった。

 星野監督は試合前まで、遊撃にだれを先発させるか決めかねていた。「枡田は前回やってしまったからなあ」。それでも「(枡田を出さないと)打線が組めないから」と打力を期待され、スタメン出場のチャンスを与えられた。その期待に応え、バットでしっかり貢献した。「チームも負けが続いてたんで、よかった」。釜田にとっても、チームにとっても、そして枡田にとっても大きな1勝だった。【大塚仁】