<西武7-5日本ハム>◇29日◇西武ドーム

 斎藤をKOしたのは、予言の一打だった。3回1死二塁、右翼ポール際へ放った打球が本塁打からビデオ判定でファウルに覆った瞬間、西武栗山巧外野手(28)は「センター前を打ってきます」と宣言した上で、打ち直しの打席に立った。3ボール2ストライクからの6球目、予言通りに中堅へはじき返した。「どうかな、という打球だったし、僕も分からなかった。ベンチで心の準備をして、あの感覚が残らないように、気持ちを切り替えて」。幻の今季1号にも、主将は冷静だった。

 6号3ランを放った中島裕之内野手(29)も、予告した中での1発だった。4球目に右太もも付近に自打球が直撃。両膝に手をついて痛がるほどの激痛だった。気持ちをリセットするために、ネクストサークルへ。心配そうに見つめる5番上本に「足が痛いんで、歩いて帰ってこられるようにします」とニヤリ。「任せた」と背中を押された直後の変化球を左翼ポール際に運んだ。4番としての今季初本塁打だった。

 昨年は未勝利だった天敵を相手に、4回5失点で2試合連続KO。渡辺監督は「(中島は)走者がたまっているところで、しっかり仕事をしてくれた」と4番の働きを評価した。【久保賢吾】