<巨人2-2中日>◇1日◇東京ドーム

 ああ、東京ドーム連勝があと2死で…。中日は、1点リードの9回に岩瀬仁紀投手(37)が同点を許し、守道竜は白星を逃した。先発にエース吉見を立て、5回までに2点をリード。完全な勝ちパターンを首位巨人に覆された。高木守道監督(71)は怒りのノーコメント。誰もが言葉を失うドロー劇だった。

 守護神が天を仰いだ。1点リードの9回。1死から長野のゴロをさばいた岩瀬の一塁送球がそれた。走者を二塁まで進めると、続く代打谷に甘く入った直球を左翼フェンスに直撃された。あとアウト2つで勝利というところから暗転。土壇場で引き分けに持ち込まれた。

 この展開に我慢できなかったのが高木監督だ。試合が終わってすぐにベンチを立つと、顔を真っ赤にさせて激怒した。

 「ノーコメント。しゃべりたくない」

 それだけ話すと、その後は問いかけにもこたえなかった。口を結んだまま、帰りのバスに乗り込んだ。指揮官が試合後に取材を拒否したのは、コーチへのサインが伝わらず途中からサインを出すことを放棄した5月3日阪神戦(ナゴヤドーム)以来、2度目。それだけショッキングな引き分けだった。

 岩瀬も動揺を隠しきれない。球宴中に左肘の異常を訴えていたが、前日7月31日に13日ぶりに登板した。ようやくイニングの頭からマウンドを任され、ここを抑えればという大事な場面に背信。「(悪送球は)握り切れていなかった。ああなって申し訳ない…」と下を向いた。

 沈痛なムードが漂うなかで権藤投手コーチだけは違った。「これからも使う。このチームにとって岩瀬は切り札。この切り札を復活させないと、このチームは(巨人に)くっついてはいけない」。首位巨人とのゲーム差は代わらず4・5。残された試合はあと53試合。守護神の完全復活なくして逆転Vはない。【桝井聡】