<楽天0-3ソフトバンク>◇1日◇秋田

 できすぎの里帰りだった。秋田出身のソフトバンク摂津正投手(30)が今季初完封で飾った。「ふるさとということでたくさんの声援がありがたかった。力になりました。うまくいきすぎです!」。家族や親戚、友人が集結した客席にマイクを通じて感謝の思いを告げ、手を振った。

 球団では96年以来となる秋田での試合。偶然の巡り合わせに「社会人時代(JR東日本東北)に投げていたし、マウンドには慣れている」とホーム気分でいた。秋田市内にある実家の近所から約30人が駆け付け、バックスクリーン左に「摂津正君を励ます会」の横断幕を掲げ、懐かしく、ほのぼのとした空気に抱かれ、投げた。

 1回、先頭聖沢に右前打されたが、一塁けん制球でアウトに仕留め、自らをリズムに乗せた。「真っすぐが低めすぎて、ボールすぎた」。ズレを修正し、2回にはすべてシンカーによる空振り三振でアウト3個を奪い、リーグ一番乗りで100奪三振に到達した。9回3安打9奪三振。117球で完封ショーを仕上げた。

 ネット裏にいた父肇さん(59)は「まさか秋田で投げる姿を見られるとは。ありがたい」と感激。前日7月31日には正月以来となる帰省。母武子さん(56)が勝利を願ってトンカツを用意した。登板3日前から禁酒するため晩酌の相手はできなかったが、最高の親孝行となった。「九州の地でも頑張っている秋田県人がいます!」。客席への珍しいリップサービスにも故郷への思いがにじんだ。

 2年連続2ケタとなる10勝目。エースの快投でチームは4位に浮上した。【押谷謙爾】