<ロッテ12-2日本ハム>◇2日◇QVCマリン

 日本ハム期待の中継ぎ右腕がベールを脱いだ。2日ロッテ戦(QVCマリン)の6回、新外国人ダスティン・モルケン投手(27=前3Aコロラドスプリングズ)が来日初登板。四球にボークと課題を残したが、最速153キロをマークして2三振を奪うなど1回無失点に抑え、救世主としての働きを見せた。今季ワーストタイの12失点と打ち込まれた投手陣で、唯一の明るい材料だった。

 自慢の剛速球が、名刺代わりだった。来日初登板のモルケンが、押して、押して、押しまくった。全20球中、直球が16球。ロッテ・サブローに対する4球目にはMAX153キロを記録した。圧倒的な球威を武器に1回を無安打無失点、2奪三振と上々のデビューに「自信が付いた。速いボールも投げられたしね」と不敵に笑った。

 待ちに待った日本での初マウンドだった。7月19日に来日し、同24日に2軍戦に登板。それから中8日で、ようやく出番が回ってきた。「投げられたことが、うれしかった。チームの状況もあるから、いつ呼ばれてもいいように用意はしていた」と心の準備も万端だった。

 前日1日には、憧れのアスリートから刺激を受けていた。試合後、始球式を務めた大相撲の大関琴奨菊(28=佐渡ケ嶽)と球場正面の入り口でばったり対面。この3連戦、両チームの監督に手渡される花束を「ファンに渡したいから」と律義に毎回持ち帰っていた新助っ人は、思わず琴奨菊にプレゼントし「すごい大きな方だった」と目を輝かせた。実は米国在住のころから大の相撲ファン。球団関係者にも「1回は大相撲を観戦に行きたい」と熱望するほどだ。大好きな“スモウレスラー”と握手を交わし、夢見心地で球場を後にしていた。

 今季ワーストタイの失点で大敗も、登板数がかさんで疲弊するリリーフ陣に光明が差した。栗山監督は「そこだけが、前に進んだ」と助っ人右腕に期待を寄せた。ボークを取られる場面もあったが、モルケンは「(セットポジションで)4、5秒静止することを頭に置いて、次から投げれば課題はクリアできる」と豪語。直球で押しまくるパワー投球で、パ・リーグのライバルチームを優勝争いから押し出す。【木下大輔】