<ヤクルト4-8中日>◇4日◇神宮

 鬼門突破を告げる打球が、中前に弾んだ。同点の8回2死満塁。代打野本圭外野手(28)が押本から、しぶとく外野手の前に落とす勝ち越しの2点適時打を放った。「とにかく結果がほしかった。打ちたいの一心。当たってでも点を取りたかった」。控え暮らしの男の今季初打点が、今季7戦目での神宮初白星をもたらせた。

 野本にとっても因縁の地だった。昇格間もない4月末の神宮遠征でインフルエンザB型に感染。2軍再降格となった。「自分でも何しとんやろと思いました」。10年にレギュラーをつかんだが、平田や大島の台頭で出番が激減。やっと巡ってきたチャンスをフイにした。神宮の借りは神宮で返す。8回は、4月に同じくインフルエンザで離脱した山崎がつないだ四球に男の意地で応えた。

 初勝利までは鬼門の恐ろしさをイヤというほど味わった。相手はプロ初登板初先発の八木。高木守道監督(71)は試合前、愛知出身の中日ファンと聞き「なら大丈夫でしょう」と冗談めかしていたが、荒木や大島らに走塁ミスや失策が続出。「ここではどうもミスが出る」と話していた通りの展開で、7回に1度はリードを手放した。野本の執念の一打で救われた。

 高木監督は大喜びかと思いきや笑顔はなかった。「8回、9回はよう取った。同点にされるまではやられるパターン」と厳しく、ミス続出に心から喜べなかった。首位巨人とは4・5ゲーム差をキープ。鬼門の完全克服にほしいのは快勝。「そう願いたいね」。野本の激打を弾みにスカッと連勝を狙う。【松井清員】