<西武0-3日本ハム>◇11日◇西武ドーム

 日本ハム吉川光夫投手(24)が5年ぶりの完封で、リーグ50勝一番乗りへと導いた。9回2死。代打中村への初球は、この日の最速に並ぶ151キロ。5球目まで速球を続け、最後は大きなカーブで空振り三振に仕留めた。「今まで完封できていなかったし、うれしい。マウンドに上がったら常に投げ切ることを考えてますから」。わずか2安打、127球の熱投は、執念だった。

 昨季まで3年連続未勝利とローテーションに定着できずにいた夏は、いつも水面下で名前が挙がった。他球団からトレードで獲得したいとの打診は一番多かったが、球団は応じなかった。しかし課題の制球難を克服できず、登板機会がなかった。それだけに初の無四球完投に「今まで四球、四球って言われていたので良かった」と胸をなで下ろした。最速151キロの直球主体で力勝負し壁を破ったからこそ価値がある。今季2戦2敗だった相手に勝てたが「僕の勝ちより、チームが勝っていけるように投げていきたい」。初の2ケタ勝利にあと1勝、防御率も1点台に戻した。背水の1年と心に刻んで臨んでいる。不遇続きだった季節にもケジメをつけ、大ブレークはまだまだ続く。【高山通史】