<DeNA4-4阪神>◇16日◇横浜

 つらい。つらすぎる。阪神は新井貴浩内野手(35)をスタメンから外す大胆オーダーも結果につながらず、最下位DeNAに痛恨ドローだ。前夜3安打の主砲外しは走塁ミスの懲罰とも推測できるが、和田豊監督(49)は「深い意味はない」と否定。肩の状態やブラゼル起用の事情だと説明した。聖域なき、思い切った采配でも勝てない。負けに等しいドローがつらい…。

 大胆な選手起用も、勝利には届かなかった。103試合目のドローは、負けに等しい。指揮官は険しい表情を崩さなかった。

 和田監督

 引き分けでいいとは思わない。展開的にも勝てるゲーム、勝ちたいゲームだった。全く満足していない。

 二神のプロ初先発だけでなく、打順もサプライズ編成で勝負に出た。前夜にマルチ安打を記録した新井とマートンをスタメンから外し、2軍で調子を上げた坂とブラゼルを同時に起用。フレッシュな力にかけ、3回の3点先制でピタリとはまった。

 和田監督

 (2人は)下で結果を出していた。ブラゼルは4打席立たせたかった。どのタイミングでいかせるか。

 今季、打線の軸を任せてきた新井のベンチスタートは1つの決断だった。9日巨人戦で4番から降格し、下位打線にも回された。前夜には3安打を記録したが、ベンチの意図がうまく伝わらない結果の致命的な走塁ミスがあった。

 和田監督

 深い意味はない。肩がサードでできるまで戻っていない。

 疲労の蓄積により、右肩の状態は決して良くない。ブラゼルを起用した場合、三塁では使えないという判断だ。5月31日ロッテ戦以来、今季2度目の欠場となった新井は試合後「何もない」と多くを語らなかった。今後もこういう起用があるという指揮官の意思表示とも受け取れる。

 大きな決断を下しても勝てないのが、苦しい現状を物語っている。4回以降は新井良の1発だけ。8回のチャンスもB砲は併殺打に倒れた。代打によるバントで進塁という手もあったはず。来季契約更新が厳しい状況にある助っ人のバットにかけたが、結果は裏目に出た。6回裏の継投も吉と出なかった。二神が1死から荒波、内村に連打を浴びた。ベンチが動いた。

 和田監督

 筒香に(タイミングが)合っていたから。2回以降はテンポよく、キレのいい球を投げていた。勝たせたかったが…。

 ドラフト最上位右腕によるプロ初先発初勝利は、球団史上初だった。その権利を持って、降板。しかし筒香にぶつけた左腕加藤が四球で歩かせる。登録したばかりの鄭凱文にスイッチしたが、藤井彰の捕逸とタイムリーで逆転を許す。ここで二神の白星は消えた。試合前半の流れのままに9回を終えていれば…。手にしたかもしれない勢いを逃した。

 この日の収穫は、二神の好投と最下位DeNAにゲーム差を縮められなかったこと。1戦必勝にこだわる和田阪神にとっては、喜べないドローだった。【田口真一郎】