<ヤクルト1-0阪神>◇18日◇神宮

 マートンショックか?

 和田阪神が今季16度目の完封負けを食らった。7回、無死一、二塁では、新井が阪神移籍後初めてのバントを試みたが、結果は送れず。得点につながらなかった。元4番にバントを命じる執念も実らない。0-1の負けはズシンとこたえる。神宮の虎ファンは厳しいヤジを飛ばした。

 ベンチを出て、クラブハウスへと歩く和田豊監督(49)の背中に、怒った虎党の容赦ない罵声が降り注いだ。

 「辞めろ!」

 「バント、アナウンサーにも笑われとったわ!」

 今季16度目の完封負け。前夜、拙守連発の後、コーチに逆ギレしたマートンをこの日、2軍に落とした。その直後に皮肉な結果が待っていた。険しい表情の指揮官。ヤジを飛ばす虎党。神宮球場三塁側にはやり場のない怒りが充満していた。

 「メッセも、後から投げた投手も、打たれながらも粘り強く投げてくれた。投手どうこうじゃない」

 指揮官の言葉通り、踏ん張り続ける投手陣を見殺しにしてしまった。ただ、執念は見せた。1点を先制された直後の7回、無死一、二塁から6番新井に送りバントを命じた。本塁打王を獲得したこともあるリーグ屈指の長距離砲がバントを試みるのは、阪神移籍後初めてだった。

 新井は一塁前へきっちりと転がした。だが、ヤクルト畠山の猛チャージによって三塁封殺。失敗に終わった。ここから桧山、今成、ブラゼルと左の代打3人を送り出したが、桧山の中前打で満塁にしてから、ホームが遠かった。今成が遊飛、ブラゼルはボール球を振っての空振り三振で、最大のチャンスは消えた。

 「バントは下手な選手じゃない。うまい方だと思う。バント自体は悪くなかったけど、かなり畠山もチャージしてきたんで」

 和田監督は新井へのバント指令について、こう語った。元4番にバントを命じる1点への執念も実らなかった。この日、勝てば自力CS進出の可能性が復活したが、目に見える希望の光を灯すことはできなかった。懸命のあがきも、結果に結びつかない。フラストレーションのたまる敗戦だった。【鈴木忠平】