<日本ハム5-0西武>◇28日◇札幌ドーム

 日本ハムの新エースが、MVPに大きく前進した。6年目の吉川光夫投手(24)が、西武打線を散発2安打に封じて今季3度目の完封勝利。チームトップの14勝目を挙げ、防御率はソフトバンク大隣を抜いて再びリーグトップに躍り出た。昨季未勝利から変貌を遂げ、優勝マジック4をもたらした左腕に大きな勲章が見えてきた。

 やられたら、やり返す。吉川が1週間前の悪夢を振り払う今季3度目のシャットアウトで14勝目を挙げ、再び防御率リーグトップに躍り出た。「今日はやり返したいと思ってマウンドに上がった。負けられない試合だったので、1球1球、力を込めて投げました」と振り返った。負けん気がぎゅっと詰まった95球。3季ぶりVとなればMVP最有力の左腕が、注目の首位攻防戦で苦手西武打線を手玉に取った。

 敵地で行われた21日西武戦では、8回途中4失点でマウンドを降りて5敗目を喫した。今季黒星のうち、3つが西武相手。特に、前回対戦で先制本塁打と同点適時打を許した浅村に対しては、高めの球を有効に使って慎重に攻めた。「初球を振ってくるので、入り方を工夫した」。1打席目こそヒヤリとする左中間の大飛球を打たれ陽岱鋼の好守備に助けられたが、第2~第4打席は危なげなく凡打に仕留めて、厄介なリードオフマンを完璧に封じ込めた。自慢の直球は151キロをマーク。終わってみれば、7奪三振、被安打2と鮮やかな投球でリベンジし「今日はツルさん(鶴岡)のリード通りに投げられました」と充実感に浸った。

 強い思いがある。4勝を挙げたルーキーイヤーの07年、優勝メンバーの1人にもかかわらず、未成年だったため、優勝時恒例のビールかけに参加することができなかった。優勝会見を終えると宿泊先のホテルの自室へ戻り、1人寂しくビールかけのテレビ中継を見守った。当時19歳。「いつか、またチャンスがあるはずだと、自分に言い聞かせました」。長い2軍暮らしを経て、今年、開幕ローテを勝ち取った左腕は、今やエースと呼ばれるのにふさわしい成績でV戦線の最中にいる。いよいよ、カウントダウンに入ったリーグ制覇。歓喜の瞬間が、迫ってきた。【中島宙恵】