海外球団への移籍が可能なフリーエージェント(FA)権を取得している阪神藤川球児投手(32)が近日中にも米国に渡ることが17日、明らかになった。すでに権利を行使してのメジャー挑戦が決定的な状況だが、今季5位に終わったことで11日には「投手キャプテンとして責任を感じている」と揺れる胸中を激白。去就については熟慮するスタンスだが、長年の夢に向けて、まずは米国のトレーニング環境などをじかにチェックするとみられる。

 メジャーへの野望を持つ藤川が、早ければ近日中にも米国へ旅立つ。すでに球団にも渡米の意思を伝え、了承を得ている。球界関係者は「早い段階で向こう(米国)の環境などをチェックしておきたいようだ」と明かした。西海岸に渡る予定で、米国の生活環境やトレーニング施設などを確認するとみられる。

 藤川は今年4月に海外FA権を取得した。シーズン中はペナントレースに集中するため、FAの話題を封印。オフに入り、球団は慰留に努めたが、明確に意思表示していない。11日には甲子園のクラブハウスを訪れ「去年も今年も満足はできない。その責任を取ってくれたのが、責任感ある選手ばかりで申し訳ない。(引退する)城島さんの覚悟も金本さんの覚悟も見た」と揺れる思いも口にした。

 ただ、すでに米国での代理人としてアーン・テレム氏、団野村氏を選定するなどメジャー挑戦は決定的。米球界でも、日本球界屈指のクローザーとして活躍してきた球児の動向に注目している。シーズン中からレンジャーズ、ヤンキース、ジャイアンツなど強豪球団がこぞって視察。米球界は安定したセットアッパーやクローザーが手薄な事情もあり、多くの球団が熱心な「藤川詣で」を続けてきた。

 藤川自身は11日に「この1カ月で考える。それがFAという権利でしょう」とも話しており、FA申請が可能になる日本シリーズ終了後まで自らの進路について熟慮するスタンスだ。阪神残留の可能性も否定しなかったが流れは限りなくメジャーに傾いている。今回、渡米しての現地チェックはメジャー挑戦への決断材料になりうる。07年オフに初めて公言した米国志望。長らく抱き続けてきた夢が現実味を帯びてきた。<藤川のFA経過>

 ◆4月10日

 海外FA権を取得。

 ◆6月9日

 レンジャーズのスカウト陣がオリックス(甲子園)戦を視察。コルボーン環太平洋スカウト部長は「藤川はメジャーで通用する」

 ◆7月下旬~9月上旬

 マリナーズ、ヤンキース、レッドソックス、レイズ、オリオールズ、ロイヤルズ、ジャイアンツ、インディアンス、フィリーズ、ドジャースの10球団が観戦。「球児どり」が本格化。

 ◆9月14日

 米のデータ情報サイトで、藤川の特集記事が組まれ「日本のマリアノ・リベラ」と紹介された。

 ◆9月18日

 前日練習中に右内転筋の張りを訴え出場選手登録を抹消。

 ◆10月9日

 金本の引退試合に参加するために1軍に合流。金本に花束を渡した。

 ◆10月11日

 球団と交渉後、思いを激白。「この1カ月で考える。FAするとしても時期は先。それがFAでしょ。球団と話しながらゆっくり決めていく」