<セCSファイナルステージ:巨人2-5中日>◇第2戦◇18日◇東京ドーム

 巨人がまさかの連敗を喫した。先発デニス・ホールトン投手(33)は、球審の判定にいらだちを見せるなど冷静さを欠いた投球で、4回途中3失点で降板した。中日に主導権を奪われると、打線も中日の先発伊藤をつかまえきれなかった。初戦のエース内海に続いて今季12勝のホールトンでも勝てず、リーグ優勝によるアドバンテージを含めて1勝2敗。短期決戦の舞台で強さを取り戻せるのか。

 いら立ちを隠しつつ、原辰徳監督(54)は言った。先発ホールトンについての質問に「そうですね。決して、いいピッチングではなかったでしょう」。柔和な表情を崩さず、さらに続けた。「しかし、奇跡的に、よく3点で抑えていたなというのが実感ですね。ややもするとかなりの大量点だったのを、3点でよく抑えたな。全体的に5点取られたけど、よく5点で収まったなという感じですね」。直接的な表現で、やり玉に挙げることはなかったが「奇跡的」という3文字に、連敗の苦々しさをにじませた。

 独り相撲の自滅だった。1点援護をもらった2回だ。二塁打と安打で無死一、三塁のピンチを招く。谷繁には、1ボール2ストライクから内角直球がボールと判定され、まずイラッ。次球は外のスライダー、低いと判定され露骨にイライラッ。登板前は「勝つことが最優先。変に興奮しすぎるとマイナスに働く。平常心で集中した投球ができれば勝てる」と話していた。勝っても笑わなければ、負けて悔しがらない。常にぶっきらぼうな男がキレた。結局、谷繁は四球で無死満塁とした。

 さらに投手・伊藤の打球は足に当たったと自分で判断し、動きを止めた。打者走者、三塁走者ともにオールセーフで同点。原監督も「あのプレーは自分で決めるべきプレーではありませんね」と、フォローのしようがない様子。

 1回、投ゴロの打球がグラブに挟まり、一塁にグラブごとトスしたが「完全捕球ではない」と判断されてセーフになったのがケチのつき始め。不運もあったが、チームにとって痛手となる自滅だった。

 シーズン終盤の安定感から2戦目を託したものの、勝手に乱れ主導権を中日に献上した。前日の敗戦には、みじんも動揺を見せなかった原監督。この日も「2試合終わって、1つ負けが先行したということですね。明日切り替えて、しっかり戦うというところですね」と、冷静に話したが、追う立場になったことは事実。圧倒的な勝率でリーグ制覇した迫力はない。まるで4月の巨人のようだ。【金子航】