日本ハムの来季1軍ヘッドコーチに、埼玉・川越東高の教諭で野球部監督を務める阿井英二郎氏(48)が就任することが21日までに決まった。現在も教壇に立つ阿井氏は、2学期いっぱい同校で指導することを希望しており、就任は1月1日付。投手としてヤクルト、ロッテでプレーした経歴があり、プロ野球出身の高校野球監督がプロ球界に戻るのは初めてのこと。明日23日に新体制が正式発表される。

 阿井氏と栗山監督は、ヤクルト時代のチームメート。また、昨年までキャスターとして高校野球の現場を取材していた栗山監督は、阿井氏の野球に対する誠実な姿勢や、熱心な指導法などに深い感銘を受けていた。10年に出版した著書「はるかなる甲子園~もう一つの高校野球物語~」(日刊スポーツ出版社)の中でも同氏を称賛している。

 今回も栗山監督が強く推薦し、球団側も阿井氏の人間力を高く評価した上でコーチ要請を決断した。元プロの高校野球指導者がプロ球界に戻るというケースは初めてだが、日本ハムが教員を球団スタッフとして登用するのは、大渕スカウトディレクター、熊崎スカウト、本村選手寮教官に続き4人目となる。

 この日、プロ野球コンベンションに出席した栗山監督は阿井氏について「一緒にプレーしているから知っている人ではある」と話すにとどめ「ちゃんと決まった時にはしゃべるので、今日は勘弁してくれる」と口を閉ざした。

 ◆阿井氏のアマ復帰

 元プロ球団関係者が高校の監督になるには退団後2年間、教諭などを経験した後、日本学生野球協会などの適性審査を経て学生野球資格の回復が必要となる。阿井氏は1度学生野球資格を回復しているが、プロ復帰で再度これを失う。旧学生野球憲章では想定問答中で再回復を禁じていたが、現在の学生野球憲章では再回復の規定がない。この日、日本高野連の審議委員会では日本学生野球協会、NPBなどと再回復について今後協議すると確認した。

 ◆阿井英二郎(あい・えいじろう)1964年(昭39)9月29日、茨城・美浦村出身。東農大二高から82年ドラフト3位でヤクルト入団。85年4月17日の広島戦(神宮)で1軍初登板を果たして中継ぎに定着し、85、86年とチーム最多登板。88年から右肩、肘痛で登板機会が減り、90年オフにロッテへ移籍して92年限りで引退。その後は医療機器メーカーに勤務しながら、日大の通信教育部に通って教員免許を取得し、97年4月につくば秀英高の社会科教諭として赴任した。99年4月、同校の野球同好会が部に昇格すると同時に指導を依頼され、04年まで監督。05年に川越東高へ転任し、09年秋に埼玉県大会4強で21世紀枠候補校に推薦された。プロ通算は144試合17勝17敗4セーブ、防御率4・79。181センチ、84キロ。右投げ右打ち。