福留で得点力もGoes

 up!

 阪神中村勝広GM(63)が、28日にも交渉を行う福留孝介外野手(35)が打線のキーマンであることを強調した。1試合平均2・85得点とリーグワーストだった今季から、来季は3・5得点まで引き上げる構想を披露。そのための最後のピースが福留だとした。

 今オフの補強、最後のハードルへ向かう中村GMは神妙な面持ちだった。宝塚市内で報道陣に対応し、福留との交渉に臨む心境を明かした。

 「駆け引きなんかできないし、予算の中で勝負するしかない。五十嵐の時と同じようなスタンスですよ。それでだめなら諦めざるを得ない」

 28日にも行われる交渉で最大限の提示をする。国内ではDeNAが最大のライバルと目されているが、阪神としての必要性を訴え、口説くつもりだ。では、なぜ、福留が必要なのか。その意図を具体的に明かした。

 「今年の平均得点は2・6だっけ。目指すところは3・5点。その打線を結成するために、福留くんはどうしても必要な1人である」

 今季の阪神の1試合平均得点は実際は、リーグ最低の2・85だった。優勝した巨人が3・71だったことを考えれば、大きく差をつけられた。逆襲のために中村GMが来季目指す打線は1試合3・5点を奪える打線。そのために出塁率が高く、勝負強い福留をクリーンアップで起用したいというのだ。

 福留はリーグMVPを獲得した06年、打率3割5分1厘、31本塁打、104打点、出塁率4割3分8厘で首位打者と最高出塁率の2冠に輝いた。チャンスメーカーにも、ポイントゲッターにもなれるのが特徴だ。西岡のスピード、新外国人コンラッドのパワー、そして、福留の勝負強さ。鳥谷、マートン、新井ら現有戦力に新戦力のプラスアルファを加えて、理想の打線を作りたい。福留はそのための最後のピースだ。

 「福留に全力で当たっていくというのは間違いない。後退という感じを受けたような感じがするかもしれないけど、そうではない。マネーゲームはしないということ」

 全力でぶつかっていくという表現に力を込めた中村GM。前日23日の和田監督はファン感謝デーのスピーチで来季の意気込みをこう叫んだ。「Goes

 up(はい上がれ)!」。逆襲を体現するために-。福留への口説き文句が熱を帯びそうだ。

 ▼福留は中日在籍時の9シーズンで、得点圏打率3割4厘。2度目の首位打者となった06年には、自身最高の打率3割5分7厘を誇った。今季のセ1位は巨人阿部の3割5分8厘で、匹敵する数字を出した実績を持つ。阪神の今季の5番打者による打点47はセ・リーグ5位。スタメンには金本(53試合)ら9人が起用され、シーズン通しての固定はできず。福留の入団がなれば、一気に弱点の解消が期待できる。