浩二ジャパンが「日替わりストッパー」で、世界一を狙う。来年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表候補34人が4日、発表された。絶対的な守護神は不在だが、巨人杉内俊哉投手(32)ら先発兼中継ぎも可能なタイプを選出。変幻自在に勝ちパターンを形成できるメンバーをそろえた。来年3月2日ブラジル戦(福岡ヤフードーム)から幕を開ける第1ラウンドの組み合わせも、この日決定。強力でマルチな投手陣を武器に、日本野球の威信をかけた勝負に挑む。

 綿密に練った世界一プランが、顔ぶれに表れた。山本浩二監督(66)は都内ホテルで行われた代表候補発表の記者会見で、ともに戦い抜く覚悟を決めた34人の名前を明らかにした。選出を要望していたメジャー組6人の全滅に、絶対的なスター不在…。船出前から不安視する世論がある中でも、堂々と宣言した。「日本の野球の力を見せて戦いたいと思います」。侍ジャパンの強みになりそうな、投手の代表候補は16人。「日替わりストッパー」構想を可能にする面々が、強気な所信表明へと導かせた。

 バラエティーに富んだ布陣を、明確な狙いを持って整えた。中継ぎ専門は山口と浅尾、今村、森福の4人。「(抑え候補の)名前は挙がっているよ。まだ日にちがあるから投手コーチと相談します」。山本監督が具体的な青写真を明かせないのが、温めている戦略の証しだ。4人のほかは先発タイプだが中継ぎも兼任できる山井、牧田、摂津と各球団で守護神経験を持つ実績派を配備。またセ・リーグ最多奪三振王の杉内、11月18日のキューバとの強化試合で2回4三振と適応できる可能性を見せた沢村もリストアップした。

 中継ぎ陣で絶対的な柱が不在だけに、ほかの首脳陣と熟慮の末に人選した。「1試合1試合、戦っていくことが大事。点を与えない野球」。山本監督が描く侍ジャパンの勝ちパターンがディフェンス力重視、小差で勝ち切る野球。その理想の生命線が抑えになる。06年第1回大会は前レンジャーズ大塚が抜群の安定感で、抑えに固定。09年第2回大会はカブス入り決定的な藤川がやや不調で、準決勝以降はレ軍ダルビッシュに切り替えて奏功した、その過去2度の快挙を踏襲。選手の好不調、対戦国との適性などで、自在に勝利の方程式を組める駒をそろえた。

 先発陣は球数制限を考慮し第1ラウンドは3試合、1試合2人の計6人で構成する。本戦に臨む投手陣は13人の構想だけに、7人が抑えなどの役目を託されることになる。来年2月中旬から宮崎で行う合宿、本番も含めた実戦も経て「日替わりストッパー」の見極めを図ることになる。その1人の候補で、過去2大会連続出場経験がある杉内でさえ「先発にこだわっていない」と宣言するなど、柔軟にタクトを振ることができる協力態勢も十分だ。山本監督が自信を持つ「メード・イン・ジャパン」のブランド力を、侍投手陣に結集した。