福留へ挑戦状だ。阪神伊藤隼太外野手(23)が26日、自主トレを行っている横浜市内の慶大グラウンドで熱い胸の内を明かした。阪神入りする福留は、同じ右投げ左打ちの右翼手。「負けるわけにはいかない。どこか1つ勝っているからと言ってレギュラーになれるわけではないと思うし、トータルで勝負しないといけない」と燃える思いを吐きだした。

 ライバルとなる男は憧れの存在だった。愛知生まれの愛知育ちの伊藤隼は「中日ファンでした。(福留は)頼りになりましたね」。瀬戸市の幡山西小時代から通うナゴヤドームで、当時中日の福留は輝いていた。隼太少年の脳裏に強烈に印象に残っているのが02年。打率3割4分3厘で首位打者を獲得し、巨人松井(当時)の3冠王を阻止した姿だ。勝負強い打撃を、憧れを込めて見つめていた。

 10年以上が経過し、チームメートになる。熱い思いと同時に、吸収する姿勢も忘れない。強力すぎるライバルだが「いいお手本と考えることも出来る。そんな悪いことばかりではないですよ」。生きた教材にするつもりだ。

 勝負の1年はキャンプインと同時に始まる。「ぼくは2月1日からなので。全開でいけるように」とスタートダッシュへ無休で準備を進める。この日も打撃練習、ウエートなどでみっちり汗を流した。相手が誰でも関係ない。隼太は全力でぶつかっていく。【池本泰尚】

 ◆02年の首位打者争い

 巨人松井が一時、打率、本塁打、打点でトップに立っていたが、中日福留が10月3日広島戦で2安打して打率を逆転。3割4分3厘で首位打者の初タイトルを獲得した。松井は50本塁打、107打点、出塁率4割6分1厘でリーグトップとなったが、打率は3割3分4厘で2位に終わった。