中日高木守道監督(71)の新春公約は、「勝って辞める」だ。日刊スポーツのお正月インタビューで、13年に懸ける思いを激白。2年契約が切れる今季限りでユニホームを脱ぐ決意を明かした。その花道こそ宿願の打倒巨人。監督としての初優勝で飾る意気込みだ。

 -今年72歳、年男です

 高木監督

 そう、私、ヘビ年なんです。でも、これまでの年男は野球であんまりいいことはなかった気がするね。ヘビみたいに執念深くないもんで(笑い)。

 -でも今年こそヘビの執念発揮。ズバリ目標は

 高木監督

 優勝しかない。去年、勝ち星はそれなりの数字を残したけど(※1)、野球は順位を争うスポーツ。2位は2位だし、2位じゃダメ。1位にならないといけない。それに巨人とのCSファイナルステージが3連勝3連敗で終わったんでね。余計悔しい思いがあるし、心は穏やかじゃない。今年は何が何でも勝ちたい思いでいっぱいですよ。

 -ブランコ、ソーサ、ソトがDeNAに移籍したが

 高木監督

 厳しいシーズンになるのは分かり切ってますよ。外国人が3人いっぺんにいなくなるんだから。頑張ってきたベテランも故障がちな体になってる。球団も補強してくれてるけど、外国人はやってみんとわからんところもあるんでね。

 -V奪回ポイントは

 高木監督

 打線でしょう。去年は一昨年より100本以上多くヒットを打ったのに、打点は減ってる(※2)。ここぞの場面で打てなかった証明で、いかに点が取れる打撃をするかが重要になる。主力の年齢も上がる中で、チームの将来を考えても若手の底上げは欠かせない。そのために秋に沖縄でキャンプをやったのです。今のレギュラーを抜くのは容易ではない。でも壁を破る力をつけてほしいし、そうすればチームに勢いがつく。堂上兄弟、松井佑、周平…。岩崎恭あたりは足もある。谷繁の後継も必要だし、田中や松井雅、新人の杉山にも期待を持ってますよ。

 -伝説の10・8でも敗れた。打倒巨人は宿願か

 高木監督

 中日に入団した時から巨人に勝つことを意識づけられてきたんでね。球団、親会社も巨人にだけは勝てと言う。どこに勝っても1勝は1勝だけど、優勝しても巨人に負け越したら勝った気がしない。そんな環境で育ったからでしょう。去年は巨人に独走されたけど、間違いなく今年も強い。でも、倒さないと優勝はない。

 -昨年は自ら暴走老人宣言するなど、サプライズ連発の守道劇場で盛り上げた。意識的に主役を

 高木監督

 選手時代は寡黙と言われたし、本来、進んでしゃべるタイプじゃない。でも、17年間解説をやって、黙ってても仕事にならん、面白いことを言わないと仕事にならんことに気づいたのはあります。だいたいがその場の思いつきで、孫らにも言われるオヤジギャグ。でも、しゃべりが多けりゃ、失言みたいなのも出てくる。家族にしたら「ほらまた」となる。黙ってるにこしたことはないけど、落合前監督がファンサービスがどうこう言われていたのもあったし…。でも、今年はもっとハイセンスなのを、と思ってますよ(笑い)。

 -負けてよく怒っていたが、ストレス解消法は

 高木監督

 酒は飲めんし、タバコもやりません。お笑いを見るわけでもない。せいぜい食べることかな。年齢と体に似合わず、肉が大好きなんでね。あと韓流ドラマかな。韓国美人を見とりゃ、悪い気はしない。

 -今季で2年契約が満了する。3年目への意欲は

 高木監督

 ない。17年ぶりにユニホームを着せてもらって、血湧き肉躍る感覚を楽しめた。2年で十分。まだやりたいなんて絶対言わん。今度ユニホームを脱いだら次はないでしょう。でも、それでいい。

 -本当に未練なく辞める?

 その真意は

 高木監督

 ドラゴンズの将来を考えても、次の若い世代がやらんと。私の使命は難しい過渡期のチームをガタガタにせず、戦える形に整えて次の若手に託すこと。指導者の育成は必ずせんといかん。去年も散々コーチに文句を言ったけど、それは新しいチームを見据えてのものだから。

 -ユニホームを脱ぐカウントダウンの1年に

 高木監督

 私の野球人生の集大成になるでしょう。やれるだけ目いっぱいやる。もうそれしかないし、優勝して辞めるに越したことはない。必ず巨人からペナントを奪い返しますよ。楽しみにしていてください。【取材・構成=松井清員】

 ※1=11年は75勝59敗10分け、貯金16で連覇。12年は75勝53敗16分けで貯金22だったが、貯金43の巨人に10・5差をつけられた。

 ※2=11年のチーム打率は12球団ワーストの2割2分8厘。12年は112安打多い1156安打を放ち、打率も2割4分5厘まで上昇。だが、打点は11年より1少ない400だった。