イチロー魂継承だ!

 3月に開催されるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本代表候補の日本ハム稲葉篤紀内野手(40)が2日、3連覇のカギに「決起集会」を挙げた。過去2度はヤンキース・イチローが大会期間中に野手陣の夕食会を開催。今回は辞退した同郷の後輩の代わりに、最年長としてメンバーに働きかけていくつもりだ。この日、愛知・豊山町の「空港バッティング」で恒例の打ち初めをした不惑の侍が、世界一のため一肌脱ぐ。

 新たな年を迎え、稲葉は心も体もWBC仕様に切り替わっていた。これまでも、主将となる巨人阿部のサポートは公言してきたが、具体的な方法に言及した。「時間があれば、野手会をやりたいね」。脳裏に浮かぶのは、前回09年大会での一幕だ。準決勝前日の練習後に米ロサンゼルスの焼き肉店で野手全員が参加した決起集会。「それで(チームが)1つになっていった」と、士気を高めた時間を忘れはしない。

 音頭をとったのは、同じ愛知出身の後輩、イチローだった。06年の第1回WBCでも、同様に夕食会を開催。なじみの店に招待して同僚を奮い立たせた。しかし、今回は代表入りを辞退。「僕が音頭をとるかは分からないけど」と阿部主将に配慮して先頭に立つつもりはないが、雰囲気づくりは率先する。前回メンバーのソフトバンク内川らにも提案し「みんなでやろうというふうになれば」と、裏から支える心づもりだ。

 体作りも万全だ。少年時代から通う「空港バッティング」で毎年恒例の打ち初めは、例年にない手応えを得た。「毎年、感覚がずれているなと思うけど、それほどずれていなかった。感覚は良かった」。汗だくになりながらの約150スイング。新春から鋭い打球を連発した。同施設はイチローも通い詰めた共通の思い出の場所だ。「ここに来ると、苦しかったことも思い出す。原点に返るよね」と、笑顔を見せた。

 WBCを見据えた急ピッチ調整は順調だ。今季から内野手登録となるが「キャンプでは時間を見て、外野ノックも受けると思う」と、どんな要求にも応えられるよう準備を進める。「今はWBCのことで頭がいっぱい」。不惑の侍が、グラウンド内外で日本のためにできる限りを尽くす。【木下大輔】