これぞ金のエールだ。中日ドラフト1位・福谷浩司投手(21=慶大)が世界を知る男から金言を授かった。3日、愛知・東海市内の母校横須賀高で本格的に始動。文武両道の秀才右腕はアテネ五輪金メダリストのハンマー投げ室伏広治(38)から「探求心を忘れるな」とアドバイスされたことを明かした。投げる学者の言葉を胸にプロの世界に飛び込む。
ドラ1右腕が熱いメッセージを授かっていた。昨年12月に横浜市内で行われた画像処理に関する学会報告、ワークショップ「ViEW2012」に発表者として参加し、同席したハンマー投げの室伏からアスリートとしての心得を教えられた。母校で本格的に始動した福谷は目を輝かせて運命の出会いを振り返った。
福谷
「ガムシャラにやるだけじゃなくてプロでも探求心を忘れないで」と言われた。身体能力抜群の方でも、いろんなことを考えてやってることに衝撃を受けた。
地元の中京大准教授として研究を続け、世界で頂点を極めた金メダリストからのまさに“金言”。しかも熱心な竜党として知られる室伏からのアドバイスに、刺激を受けないはずがない。世界のコウジから教えを受けたコウジは、日本代表にも興味津々だ。
福谷
これまでそんなこと思ったことなかったけど、プロ野球を職業にする以上は上を目指さないといけない。どこまでいけるか分からないけど、日の丸を背負えるようになりたい。
すでにA4用紙36枚に及ぶ「投球動作における球の出所の見づらさの定量化」と題した卒業論文も書き上げ、卒業に必要な単位も取得。22歳の誕生日でもある9日の入寮から11日の新人合同自主トレとキャンプまでフル参加できるメドも立った。プロへ飛び込む準備は整った。
福谷
(新聞やテレビの)お正月特番や特集で出ている人と一緒にプレーしたり対戦するのかと思うと楽しみ。この気持ちを大切に、当たり前にならないようにしたい。
この日は大学同期で同郷の慶大・竹内大助投手(22=中京大中京)とランニングやキャッチボールなど約2時間半の練習を黙々とこなした。
大学では抑えを任されることが多かったが、「憧れがある」と先発として勝負したい意向ものぞかせた。ただ、スタンスは変えない。これまでに培った、貪欲な探求心をプロでも生かす。【桝井聡】
◆福谷浩司(ふくたに・こうじ)1991年(平3)1月9日、愛知県知多市生まれ。北巽ユニオンズで野球を始め、中学時代は名古屋緑シャークスで主に遊撃手。横須賀ではエースで4番。3年夏の東愛知大会は初戦敗退に終わった。甲子園経験なし。AO入試で慶大理工学部に進み、1年秋にデビューした。3年春は抑えで12試合に登板して、春連覇に貢献。最優秀防御率(0・59)も獲得した。183センチ、90キロ。右投げ右打ち。
◆室伏広治(むろふし・こうじ)1974年(昭49)10月8日、静岡県沼津市生まれ。成田-中京大。07年中京大大学院体育学研究科に入学。「ハンマー頭部の加速についてのバイオメカニクス的考察」というテーマで論文を作成。11年から中京大スポーツ科学部准教授。五輪は00年シドニー大会が76メートル60で9位。04年アテネ大会は82メートル91で金メダル。08年北京大会は80メートル71で5位。12年ロンドン大会は78メートル71で3位だった。187センチ、99キロ。



