高橋よ、夢を持て!

 “鉄人”衣笠祥雄氏(65)が、龍谷大平安の後輩である広島ドラフト1位の高橋大樹外野手(18)にエールを送った。今もなお世界記録として残る2215試合連続出場の金字塔を打ち立てた先輩は「今の自分を知ること」と「なりたい自分を思い描くこと」を成功の秘訣(ひけつ)に挙げた。ともに、高校時代は捕手を務め、プロから本格的に野手に挑戦。大先輩の言葉を飛躍の糧にする。

 衣笠氏は直系の後輩がドラフト1位で広島に入団したことを、心から喜んでいる。だからこそ、プロで成功するために“自分”を知ることの必要性を語った。

 「平安の後輩が久々に上位で広島に入ってきて、楽しみにしています。甲子園でのプレーは見ました。打つ方が得意なようですね。でも、高校とプロとではレベルが全然違う。一番はスピード。それに、どれだけ早く慣れるかどうかが大事です。周囲の声に惑わされず、まずは足元をしっかり見つめ、自分の今のレベルを把握してほしい。周りの期待に1日でも早く応えようと、背伸びをして失敗してしまった選手はいくらでも見てきましたから」

 衣笠氏自身、高校からプロ入りしてレベルの違いに驚かされたという。入団後、3年間は試合に出ても結果を残せなかった。だが、内野手にコンバートされ、自信があった長打力をとにかく伸ばそうとしたところ結果が出始める。その経験から、プレースタイルを確立させる重要性も説いた。

 「本人がこれから、どういうものを目指していくのか。これに尽きると思いますね。自分の目標とか夢とか、そういうものをしっかり持って、1歩1歩見つめながら頑張ってほしいというのが経験者の意見です。今の子は、いろんな材料があるので、明確に自分の夢とか目標を描けると思う。自分が好きな人にあこがれて、あこがれた人のまねをするというのが、まず入り口だと思います。そういう先輩に話を聞いたり、本を読んだりして、いろんなことを頭に入れて、自分を目標に近づける材料にできますよね」

 やみくもに練習するのではなく、常に「なりたい像」を明確に思い描くことが大事だという。最後に伝えたのは、プロ野球選手になるという前に、社会人になることへの自覚だった。

 「とにかく、世の中広いということです。いろんなジャンルで、高校から、社会人になって戸惑うのは、世の中の広さと、大人の社会だということ。これは野球選手だけに限らず、一社会人として大人の社会に慣れることが大事。これは、今も昔も一緒でしょう」

 衣笠氏は平安の、そしてカープの、才能を秘めた後輩を温かく見守っていく。【鎌田真一郎】

 ◆高橋大樹(たかはし・ひろき)1994年(平6)5月11日、大阪・藤井寺市生まれ。道明寺東小3年から「大井リバーサイド」で野球を始め「河南シニア」では中3でAA世界大会出場。龍谷大平安では2年夏と3年夏に甲子園出場。18U世界選手権(韓国)では日本代表の中軸として打率4割2分1厘。昨秋ドラフト1位で広島に指名される。182センチ、80キロ。右投げ右打ち。